訪問介護の料金はいくらかかる?介護施設利用との違いについても

高齢者が安心して生活するためには介護が必要です。

その方法の一つとして、ホームヘルパーが利用者の家を訪れてサービスを行う「訪問介護」があります。

訪問介護は自宅に居ながらサービスを受けられる点が大きな特徴です。

可能ならば、住み慣れた家で介護を受けながら暮らしたいと考えている高齢者の方は多いでしょう。

この記事では、訪問介護にかかる料金や、介護施設との具体的な違い、利用までの流れなどを紹介します。

目次

訪問介護の利用料金はどんな仕組み?

訪問介護は、サービスの内容や、利用する時間によって料金が決まります。

要介護度が高くても料金は変わらず、介護保険も適用されるため、想定よりも安くサービスを利用できる場合もあります。

以下で具体的な金額を見ていきましょう。

訪問介護はサービス内容と利用時間で料金が決まる

上述の通り、訪問介護の料金は、受けるサービスの内容と利用する時間によって決定します。

金額の算出方法は「サービスの種類別料金×利用時間+その他加算料金=自己負担額」となります。

訪問介護は介護保険が適用されるサービスです。

そのため、通所介護や特定入居者生活介護などのサービスと同様に、料金の基準となる単位が決められています。

単位は地域によって異なり、サービス内容や利用時間に応じて細かく定められています。

加算料金とは、通常よりも手厚いサービスを受ける際にかかる料金です。

詳しくは「そのほかに加算される料金」の項でも解説しています。

訪問介護のサービス内容

訪問介護のサービスは「身体介護」と「生活援助」の二つから成ります。

身体介護は利用者の身体に直接接触するサービスで、食事・入浴・排せつの支援や、歩く・起き上がるといった移動の介助などを行います。

一方で、掃除・洗濯などの生活に不可欠な家事を支援するのが生活援助です。

利用者ができること・できないことを把握したうえで、快適な日常生活を送るために必要な支援を行います。

また、この二つのほかに「通院等乗降介助」というサービスもあります。

通院等のため、車や交通機関に乗り降りする必要がある際、支援を受けることが可能です。

訪問介護で受けられないサービス

訪問介護で受けられないサービスとして、医療行為が挙げられます。

インスリンの注射や点滴といった医療行為は、医師や看護師などの資格保持者しか行えないため訪問介護のサービスには含まれません。

また訪問介護による支援は、利用者本人のみを対象としています。

そのため、利用者の家族や親族にまで及ぶサービスは受けられません。

そのほか、ペットの散歩や庭の掃除など、日常生活を送るうえで必須ではない行為もサービス対象外となります。

訪問介護の対象者

市区町村から要介護認定を受けた人が、訪問介護の対象です。

要介護度による料金の違いはありません。

しかし、区分の高い人がサービスを利用する場合は、利用時間が長くなりやすいため、結果的に料金が高くなる傾向にあります。

また、要支援1もしくは2の認定を受けた人も、訪問介護の利用が可能です。

その場合は「介護予防訪問介護」を利用する形式となり、要支援1の人は、週2回の利用に限られるなどの制限が生まれます。

なお、介護予防訪問介護とは「予防」に重点を置いたサービスです。

生活援助を主としたサービスを提供し、利用者が要介護状態にならないように予防的支援を行います。

訪問介護の料金表の例

例として、訪問介護の料金を以下に記載します。

身体介護を受ける場合

時間料金
20分未満1,670円
30分以上1時間未満3,960円
1時間以上1時間30分未満5,790円

生活援助を受ける場合

時間料金
20分以上45分未満1,830円
45分以上2,250円

身体介護と生活援助の両方を受ける場合

時間料金
身体介護を20分以上30分未満かつ生活援助を20分以上45分未満3,170円
身体介護を20分以上30分未満かつ生活援助を45分以上70分未満3,840円
身体介護を20分以上30分未満かつ生活援助を70分以上4,510円
身体介護を30分以上1時間未満かつ生活援助を20分以上45分未満4,630円
身体介護を30分以上1時間未満かつ生活援助を45分以上70分未満5,300円
身体介護を30分以上1時間未満かつ生活援助を70分以上5,970円

通院等乗降介助は990円となっています。

しかし、上記の金額は料金の目安です。

実際の自己負担額は、介護保険の適用により、安く済むケースがあります。

なお、夜間・早朝・深夜にサービスを利用する際は、料金が一定額割増になるため注意が必要です。

そのほかに加算される料金

ほかにも料金が加算される場合があります。

よくある例として初回加算が挙げられます。

初回加算は、新しく訪問介護を利用する方のもとに、サービス提供責任者が訪問した場合に発生する料金です。

そのほかにも、通常より手厚い支援を受ける際に加算料金がかかる場合がありますが、具体的な加算対象項目は各事業所で定められています。

利用する際は、事前に確認しておきましょう。

訪問介護の料金は月額でいくらかかる?介護施設利用との違い

特別養護老人ホームなどの施設に入所して介護を受けるときと、訪問介護を受ける際の料金の違いが気になる方も多いでしょう。

一般的には在宅の介護のほうが料金は安く済むとされていますが、どれほどの差があるのかは注目すべきポイントです。

その中でも何に費用がかかるのか、内訳も知っておく必要があります。

ここでは具体的な料金の違いを比較していきます。

在宅介護と介護施設利用の比較

まずは在宅介護の場合です。

公益財団法人生命保険文化センターの調査によると、在宅介護にかかる月額料金は約4.8万円という結果が出ています。

この数字は主に、訪問介護を含む介護サービスの利用料金と考えてよいでしょう。

一方、介護施設を利用する際はどうでしょうか。

例として、要介護度3の人が特別養護老人ホームに入所する場合、月額約13万円がかかると推定されます。

有料老人ホームを利用する場合の料金はさらに高く、月に約30万円かかる推定です。

これらはあくまでも目安ですが、単純な月額料金を比較すると、在宅介護のほうが安いと言えるでしょう。

しかし在宅介護を始める際は、ベッドなどの介護用品の購入や、トイレの手すりを付けるためのリフォームなど、さまざまな準備が必要です。

同調査によると、在宅介護の準備に必要な費用は、平均74万円とのことです。

それゆえ在宅介護を選択する場合は、初期費用としてまとまったお金が必要な点を覚えておきましょう。

訪問介護で使える軽減制度

訪問介護は、介護施設を利用する場合と比較して、料金が安く済むことがわかりました。

また、介護保険の適用により、自己負担額を最大1割にまで減らせる点もポイントです。

しかし、繰り返しサービスを利用していると、費用は膨大になります。

ここでは、訪問介護を利用する際に役立つ軽減制度を2つ解説します。

高額介護サービス費

高額介護サービス費は、1ヶ月に支払ったサービス利用料の自己負担額が上限を超えた際、超過分の払い戻しを受けられる制度です。

自己負担額の上限は、所得額によって決められ、負担能力に応じて軽減が適用されます。

例えば「市町村民税課税〜課税所得380万円(年収約770万円)」の区分に該当する人の、自己負担額の上限は月額44,400円です。

注意点として、介護施設の居住費や、福祉用具の購入に充てた費用は「サービス利用料」に含まれないため、覚えておきましょう。

利用者負担軽減制度(低所得者対象)

利用者負担軽減制度は、社会福祉法人等が実施している低所得者向けの軽減制度です。

住民税が非課税の方や、預貯金の額が一定以下の方は、サービスの利用料が1/4軽減されます。

軽減の対象となるサービスには訪問介護も含まれるため、利用を考え、かつ条件を満たす人は積極的に活用すべきでしょう。

軽減を実施している事業所と、していない事業所が存在するため、事前に確認したうえで利用することをおすすめします。

訪問介護を利用するまでの流れ

訪問介護を利用するには、まずは要介護認定を受ける必要があります。

市区町村への申請後、通常30日以内に郵送で要介護度の通知がなされます。

申請の結果、要介護1以上と認定された場合に踏むべきステップは、居宅介護支援事業所にケアマネジャーの選定を依頼することです。

ケアマネジャーが決定したら、面談を経てケアプランを作成します。

その後、利用する事業者と契約を締結したらサービス利用開始となります。

訪問介護の利用にあたっては、家族・親族とよく相談し、助けを借りながら必要な手続きを進めるとよいでしょう。

また、市区町村の担当窓口や地域包括支援センターでも支援を受けられるため、困ったときは迷わずに相談しましょう。

訪問介護サービスの適切な選び方

訪問介護サービスを選ぶ際、意識すべきポイントは、「互いに信頼関係を構築できるか」という点です。

ヘルパーが利用者の自宅で食事・入浴・排せつといった個人的、かつ日常的な行為をするのは、家族に近い存在になるのと同じとも言えます。

訪問介護は、ただ口頭でコミュニケーションを取るだけでなく、利用者の身体に直接触れるサービスです。

実際にサービスを利用する前に全てを見極めることは困難ですが、不安や疑問を感じたら、まずは声に出して尋ねてみましょう。

本当に良い事業者とは、細かいところまで手を抜かず、親身になって利用者を支えてくれます。

事前の対応の一つひとつに、その事業者の特徴が現れると言っても過言ではありません。

まとめ

ここまで、訪問介護にかかる料金や、介護施設を利用する場合との違いを解説しました。

訪問介護は、介護施設と比較すると安価で利用でき、利用者の住み慣れた自宅でサービスを受けられるメリットがあるとわかりました。

軽減制度も充実しているため、対象となる人は利用を視野に入れると良いかもしれません。

いつまでも元気に、自宅で安心した生活を送りたいと考えている高齢者にとって、訪問介護は良い選択肢です。

訪問介護の利用を検討している人は、ぜひこの記事を参考にしてみてください。

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