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施設に入った親の実家は、思い出が詰まっているので売却したくない気持ちと、維持費がかかることから売却したい気持ちの両方が生じやすいでしょう。
また、実家を売却してしまうと、「後悔するんじゃないか?」という不安があり、売却になかなか踏み切れない方もいると思います。
そこで本記事では、施設に入った親の実家を売却するメリットやデメリットに加えて、売却する場合の注意点や実際に売却した方の体験談などをご紹介します。
また、本題に入る前に家を売りたい方へ重要なことをお伝えします。
家を売る際は必ず複数の不動産会社で査定を行ってください。
不動産会社によって査定額も違えば、抱えている顧客や宣伝方法も異なります。
知り合いや近くの不動産会社に査定を依頼したけど、実際にはもっと高い値段で売却できたというケースは少なくありません。
不動産売却をする際は、5社以上の不動産会社に査定を依頼するのが鉄則です。
ですが、「そもそもどの不動産会社に依頼したら良いか分からない・・・。」というかたも多いでしょう。
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それでは解説をしていきます。
施設に入った親の家は売却したほうがいい?
不動産ポータルサイト「SUUMO」の「自分の(配偶者の)実家対策を行った理由は?」という調査によると、実家を売却する理由は「相続税対策」という回答が大多数を占めますが、「親の老後の生活資金のため、賃貸収入が欲しかったから(7.1%)」「親の老後のため、まとまった資金が必要だったから(5.5%)」と親の老後を理由に実家対策を行う人も一定数いることがわかります。
親が有料老人ホームに入居する場合、入居費用に加えて月額料金が15万円前後かかるのが一般的なため、実家を売却してまとまった資金を手に入れることは有効な手段となります。
また、空き家は維持・管理にかかる費用がバカにならないため、施設に入った親が実家に戻る可能性がないのであれば、買い手がつくうちに早めに売却するほうがおすすめです。
親の家を売却するメリット
まずは、親の家を売却する一般的なメリットからご紹介します。
親の家を売却するメリットとして、主に以下の3つが挙げられます。
・現金を手にすることができる
・空き家の管理をする手間から解放される
・固定資産税を払わなくてよくなる
実家を売却するとどのようなメリットが得られるのか、一つずつ見ていきましょう。
現金を手にすることができる
実家を売却する1つ目のメリットは、現金を手にすることができることです。
親の家を売却すれば、まとまったお金が手に入るため、老後の生活にゆとりが持てます。
有料老人ホームの高額な入居費用や月額費用の支払いも可能になるため、親を施設に入れるために先に実家の売却をするケースも少なくありません。
空き家の管理をする手間から解放される
実家を売却する2つ目のメリットは、空き家を管理をする手間から解放されることです。
空き家は定期的に巡回をして、手入れをしないと、害虫・害獣の被害が出て衛生面が悪くなったり、不良のたまり場や不法投棄が行われ治安が悪化するという問題が起きやすいのが難点です。
しかし、自宅を売却してしまえば、面倒な管理の手間から解放されるので楽になれます。
固定資産税を払わなくてよくなる
実家を売却する3つ目のメリットは、固定資産税を払わなくてよくなることです。
実家に誰も住んでいなくても土地を所有している限り、固定資産税の支払義務が生じます。
そのため、今後も誰も住む予定がない場合は、空き家を早めに処分してしまうほうが経済的な負担を軽減できます。
親の家を売却するデメリット
親の家を売却することは、メリットが圧倒的に多いですが、デメリットもあります。
実家を売却してから後悔しないように、デメリットについても事前に確認しておきましょう。
手放したら二度と同じ土地が手に入らないことが多い
親の家を売却すると、一度手放したら同じ土地が手に入れることが難しいというデメリットがあります。
建物はリフォームやリノベーションをすれば、いくらでも自分好みに変えることができますが、「立地」は簡単には変えられないものです。
希望しているエリアに希望通りの価格で再び土地が売りに出るかは「運」によるため、現在の立地を気に入っている場合、実家の売却は慎重に検討する必要があります。
施設に入った親の家を売却したほうがいい理由
次に、施設に入った親の家を売却したほうがいい理由についてご紹介します。
施設に入った親の家を売却したほうがいい理由は、主に4つあります。
・売却したお金で施設費用をまかなうことができる
・実家の管理費用がなくなる
・3000万円特別控除が適用される(3年以内)
・特例の適用を受けられる
施設に入った親の家をどうしようか悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。
売却したお金で施設費用をまかなうことができる
施設に入った親の家を売却したほうがいい理由として、売却したお金で施設費用をまかなうことができることが挙げられます。
有料老人ホームは、一般的に入居一時金として数十万円~数百万円の費用がかかり、入居後も月額料金は15万円~20万円前後かかるため、膨大な費用がかかります。
年金だけではこれらの費用をまかなうことが難しいため、有料老人ホームに入居を希望する場合は、実家を売却してまとまった施設費用を準備するのも有効な手段です。
実家の管理費用がなくなる
施設に入った親の家を売却したほうがいい理由として、実家の管理費用がなくなることも挙げられます。
誰も住まなくなった実家を放置していても、固定資産税や建物にかけられている火災・地震保険などの維持費がかかるため、こうした経済的な負担が重く感じるられる場合は、自宅を売却してしまったほうがおすすめです。
3000万円特別控除が適用される(3年以内)
施設に入った親の家を売却したほうがいい理由として、3000万円特別控除が適用されることが挙げられます。
3000万円特別控除が適用されれば、親の実家を相続してから3年以内に不動産を譲渡すれば、その譲渡した利益から最高3,000万円を控除してもらうことができます。
特例の適用を受けられる
施設に入った親の家を売却したほうがいい理由として、以下のような特例を受けられることが挙げられます。
・小規模住宅の特例(遺産分割協議や相続税を軽減)
・取得費加算の特例(空き家の売却益にかかる所得税を抑える)
相続した親の実家を売却すると、相続税や所得税などさまざまな節税につながります。
ただし、取得費加算の特例については、3000万円特別控除と併用することができないため、どちらかを選択する必要があります。
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施設に入った親の家は賃貸や土地活用もできる
施設に入った親の家は、売却するだけではなく、賃貸や土地活用する方法もあります。
ただし、賃貸や土地活用をする場合にも、やはりメリットとデメリットの両方があるため、事前によく把握しておくことが重要です。
賃貸にするメリットとデメリット
賃貸にする場合には、主に以下のようなメリットとデメリットがあります。
賃貸のメリット | 賃貸のデメリット |
・賃貸収入が入る・自宅を残すことができる | ・修繕やクリーニング費用などがかかる・空室のリスクもある・入居者からのクレームがある場合も・住宅ローンをかりている場合は「完済」か「借り換え」が必要 |
自宅を賃貸として貸し出す場合、賃貸収入が入ったり、自宅を残すことができるというメリットがあります。
一方で、自宅を賃貸として貸し出すと、定期的に修繕やクリーニング費用がかかったり、入居者が見つからず空室になったり、借りていた住宅ローンを完済するか、賃貸住宅向けローンへ借り換えしなければいけなくなるというデメリットもあるので注意が必要です。
土地活用するメリットとデメリット
土地活用をする場合には、主に以下のようなメリットとデメリットがあります。
土地活用のメリット | 土地活用のデメリット |
・定期的な収入が期待できる・(建物を活用した土地活用の場合)税金対策になる | ・近隣トラブルのリスク・初期費用や維持費がかかる・うまく収益化できない場合もある |
自宅を土地活用する主なメリットは、「定期的な収入が期待できること」と「(建物を活用した土地活用の場合)税金対策になること」です。
特に、建物を活用したアパート経営は、相続税や固定資産税などを節税できるためお得です。
一方、自宅を土地活用する場合、近隣トラブルのリスク、初期費用や維持費がかかったり、うまく収益化できない可能性もあるので注意しましょう。
施設に入った親の家を売却したい!売却の6つのステップ
施設に入った親の家を売却する場合は、以下のように手続きを進めるのが一般的です。
【ステップ①】相続登記
【ステップ②】査定
【ステップ③】媒介契約
【ステップ④】販売活動
【ステップ⑤】売買契約
【ステップ⑥】引き渡し&登記
ここでは、それぞれのステップで具体的にどのようなことをするのか解説します。
【ステップ①】相続登記
親の代わりに子供が自宅を売却する場合、まずは相続登記を行います。
相続登記で不動産の所有者の名義を親から子供に変更することで、売却手続きがスムーズに行えます。
ただし、対象者によってそれぞれ提出しなければいけない書類が異なり、必要な書類が不足していると手続きできないため、事前によく確認しておく必要があります。
【ステップ②】査定
査定では、不動産会社が実際に建物を確認して売却価格を算出します。
もしも、提示された金額に満足できない場合、査定は無料になるケースが多いので、別の不動産会社にも査定依頼をしてみましょう。
【ステップ③】媒介契約
査定価格に合意後は、不動産会社と媒介契約を結びます。
媒介契約は、不動産会社に間に入ってもらい、買い手を探してもらえるのが特徴です。
自分で買い手を探す手間が省ける一方で、依頼主への報告義務がないため、現在の販売状況がわかりにくいという難点もあります。
【ステップ④】販売活動
販売活動では、ホームページに物件情報を掲載、店頭での紹介、オープンハウス開催などにより買い手を見つけます。
この際、周囲に自宅の売却を知られてしまう恐れがあるため、誰にも知られず売却を進めたい場合は「買取」のほうが向いている場合もあります。
【ステップ⑤】売買契約
買い手が見つかった後は、売り手と買い手で売買契約を行います。
具体的には、売り手の財産権を買い手に譲渡し、合意した内容を契約書として作成します。
【ステップ⑥】引き渡し&登記
売買契約や支払いが完了したら、最後に引き渡し&登記を行います。
ただし、場合によっては買い手から契約解除の申し出があり、途中でとん挫することもあるので、引き渡し&登記が完了するまで注意が必要です。
施設に入った親の家を売却するときに確認したいこと
施設に入った親の家を売却するときには、確認しておきたいことが2つあります。
・親が家に戻ってくる可能性があるかどうか
・親の意思はどうか(売却したい?したくない?)
一度売却してしまった実家を取り戻すことは現実的に困難なので、売却してから後悔しないようにしっかり話し合いをしておきましょう。
親が家に戻ってくる可能性があるかどうか
実家の売却は、将来的に親が家に戻ってくる可能性があるかどうかを考えて判断する必要があります。
例えば、有料老人ホームに入居しても、環境が合わなかったり、費用の捻出が苦しくなったり、さまざまな理由で退去する可能性もあります。
その際に実家を売却していると、戻る家がないので、誰が親を引き取るのかという問題が出てくるので、最悪の事態についても考えておかないといけません。
親の意思はどうか|売却したい?したくない?
実家の売却をするときは、「売却したい」「売却したくない」という親の意思を尊重することも重要です。
まとまったお金が入るというメリットから、親の意思を無視して強引に売却の手続きを進めてしまうと、家族の中でわだかまりが残ってしまう恐れがあるので注意しましょう。
実家の売却にかかるお金|費用と税金
実家を売却するときにかかるお金(税金・費用)は、主に以下の通りです。
・印紙税(税金)
・登録免許税(税金)
・譲渡所得の税金(税金)
・相続税(税金)
・消費税(税金)
・売却にかかる手数料(費用)
それぞれの税金と費用について一つずつ見ていきましょう。
【税金】印紙税
印紙税は、「売買契約書」や「売買契約書以外の契約書」に課税される税金です。
自宅を売却する際に必要となる印紙税の金額は、売却する不動産価格によって異なります。
【税金】登録免許税
登録免許税とは、不動産の所有権を法務局へ登記申請する際に必要となる税金です。
納付は現金が原則ですが、クレジットカードやペイジー対応のインターネットバンキングでの支払いも可能です。
【税金】譲渡所得の税金
譲渡所得の税金とは、不動産売却時の利益に応じて課せられます。
適用される税率は不動産の所有年数によってそれぞれ異なります。
【税金】相続税
相続税は、人が亡くなったことにより財産を相続した人に課せられる税金です。
法定相続人1人に対し3,600万円まで無税とされますが、法定相続人が複数いる場合は、法定相続人×600万円まで無税となります。
【税金】消費税
消費税は、個人の不動産売却については課税対象外となるのが一般的です。
ただし、自宅の売却方法で「仲介」を選択した場合、仲介手数料や司法書士への報酬に対して消費税がかかります。
また、個人で前々年の課税売上高が1,000万円超えの場合も、消費税がかかるので注意が必要です。
【費用】売却にかかる手数料
自宅を売却する際にかかる手数料は、「仲介手数料」「司法書士への報酬」「住宅ローンの返済事務手数料」などが挙げられます。
これらの手数料は、全員が必要になるわけではなく、自宅の売却方法やローンの有無によって異なります。
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親の家を売却するとき
親の家を売却するときは、「親の健康状態」も重要なポイントになります。
親の意識がはっきりしているか、認知症などで意識がないかによって、売却方法が違ってくるため、2つのケースの違いを確認しておきましょう。
親の意識ははっきりしている⇒◎
親の家を売却するときに、親の意識がはっきりしており、意思能力があると判断される場合は、実家を売却しても特に問題ありません。
ただし、意思能力がない人の不動産売買契約は、民法3条の2によって「無効」となるため、親の意思能力がない場合は、不動産会社から売却依頼を断わられる可能性もあります。
代理で行う⇒成年後見制度
親の家を売却する際、親が認知症で「意思能力」がない場合、「成年後見制度」を利用すれば自宅を売却することも可能です。
成年後見制度とは、判断能力が不十分な人に代わって、代理権・同意権・取消権を与えられた「成年後見人」が不動産売買契約などの財産管理を行える仕組みです。
成年後見人になるためには、家庭裁判所で申し立てを行い、成年後見人に選任されなければいけません。
施設に入った親の家を売却した人の体験談|満足の声・後悔の声
次に、施設に入った親の家を売却した人の体験談をご紹介します。
施設に入った親の家を売却しようかどうか悩んでいる方は参考にしてみてください。
かつて実家のあった最寄り駅を通りなんとも不思議な気分
施設に入った親の家を売却した人の体験談の中には、「かつて実家のあった最寄り駅を通りなんとも不思議な気分」と感じる方もいるようです。
長年住んでいた実家であっても、ライフステージと共に取り巻く環境は年を取るごとに変わるため、誰も住まなくなった実家を売却するのは自然の流れではありますが、かつて家族が住んでいた家をふと見かけ、今は誰もいないと思うと、複雑な気持ちになるようです。
母親の施設入居から実家売却の目途が立ち一安心
親の家を売却した体験談の中には、友達が「母親の施設入居から実家売却の目途が立ち一安心した」というケースも見られました。
施設への入居や実家売却にはパワーがいるので、その忙しさが一段落することにホッと安堵感を感じる人もいるようです。
実家売却&施設入居で疲労困憊
施設に入った親の家を売却した人の体験談の中には、「実家売却&施設入居で疲労困憊」という意見も見られます。
実家売却と施設入居は同時進行することもあるため、同時にどちらにも対応していると、やはり精神的にも、体力的にも負担が大きく、疲労困憊になるようです。
売却後の変わりようにショック
施設に入った親の家を売却した人の体験談には、「売却後の変わりようにショック」という声も聞かれました。
自分が売却した家だとしても、やはりその後に自分の住みなれた場所が、まったく別物のようにリフォームされるとショックなものです。
そうした現実を目の当たりにすることで、「本当に実家がなくなったんだな」と実感する人もいるようです。
住まなくなった家は空き家にしないほうがいい!
親が施設に入り、誰も住まなくなった空き家には、以下のようなデメリットがあります。
・倒壊したときに責任を取らないといけない
・衛生的に悪くなる
・治安が悪くなってしまうことも
空き家は近隣トラブルの原因になりやすいため、早めに対処することが重要です。
倒壊したときに責任を取らないといけない
まず、誰も住まなくなった家を空き家にすべきではない理由として、倒壊したときに責任を取らないといけないことが挙げられます。
万が一、通行人にケガなどが生じた場合、損害賠償を請求される恐れがあります。
特に、地震や台風などが発生すると、空き家は倒壊しやすいため注意が必要です。
衛生的に悪くなる
実家を空き家にしないほうがいい理由として、衛生的に悪くなるからということも挙げられます。
空き家は定期的に掃除をして手入れをしないと、害虫や害獣の被害によって、建物の価値が下がってしまう恐れがあります。
そのため、遠方に住んでいて空き家となった実家の手入れが難しい場合は、不動産会社に「空き家の管理」を依頼するのがおすすめです。
治安が悪くなってしまうことも
実家を空き家にするべきではない理由には、治安が悪くなってしまうことも挙げられます。
管理されていない空き家は不法侵入や不法投棄がされやすく、治安悪化の原因となります。
不良のたまり場となった場合、タバコの不始末により火災が生じたり、騒音トラブルで近隣にも迷惑をかける可能性があるので気をつけましょう。
まとめ
有料老人ホームに親が入居した場合、高額な費用がかかるため、親の実家を売却して施設費用をまかなう人が少ないことがわかりました。
ただし、実家を売却してしまうと、同じ家・土地は二度と買い戻せない可能性が高いため、慎重に判断する必要があります。
また、実家を売却すると、家族が「戻る家」がなくなるため、万が一、親が有料老人ホームを退去した場合も含めて、話し合っておくことが重要です。
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