まごころ介護のお役立ちコラム
MAGOCORO COLUMN
2019年1月から相続法が段階的に改正されています。今回は「法務局における自筆証書遺言の保管制度」ご紹介します。 自筆証書遺言は、自筆さえできれば遺言者本人のみで作成できます。しかし、自宅等で保管している場合は、一部の相続人等により破棄・隠蔽・改ざん等されるおそれがあるという問題点が指摘されています。そこで、遺言書を安全に守る方法として、法務局で保管する制度があります。こちらのページで詳しくご紹介します。
目次
自筆証書遺言とは、遺言を作成する人が全文を自筆で書く遺言書のことです。 メリットとして、自分で作成ができる点や、費用がかからない点があげられます。 詳しくは前回の記事でご紹介していますので、こちらのページをご覧ください!
自筆証書遺言を作成した方は、法務大臣の指定する法務局に遺言書の保管を申請することができます。 遺言書の保管申請時には、自筆証書遺言の形式に適合しているか、保管官の外形的なチェックを受けることができます。また、遺言書は原本に加え、画像データとしても長期間適正に管理されます。 (原本:遺言者死亡後50年間、画像データ:同150年間)
保管制度を利用するメリット
▷遺言書を紛失するおそれがありません。 ▷相続人等により破棄・隠蔽・改ざんを防ぐことができます。
遺言書の作成
遺言書の保管申請(事前予約必須)
保管した遺言書の閲覧
遺言書の保管の申請撤回
住所等の変更届出
自筆証書遺言書保管制度を利用できる法務局は全国にあり、次のいずれかの法務局で申請手続きができます。 ・遺言者の住所地 ・遺言者の本籍地 ・遺言者が所有する不動産所在地 法務局で行う手続は、事前予約が必要になります。スムーズに手続きをするために、事前に電話やウェブサイトで予約をする必要があります。 また、遺言者本人が法務局に申請に行く必要があり、代理人では手続きができません。
法務局(遺言書保管所)➡原本保管、画像データ化
※遺言者が亡くなった後、自筆証書遺言で手続きを進めるためには、偽造や改ざんを防ぐため家庭裁判所に遺言書を提出して検認を受ける必要があります。 検認を受けなければ、遺言書に基づく不動産の名義変更や預貯金の払い戻しができません。しかし、自筆証書遺言書保管制度を利用すれば、検認が不要となり相続人等が速やかに遺言書で相続の手続きを進めることができます。
・遺言書情報証明書の交付請求 ・遺言書の閲覧請求 ・遺言書保管事実証明書の交付請求
・関係遺言書保管通知 遺言書が保管されていることを通知します。 相続人のうちどなたか一人が遺言書保管所において遺言書の閲覧をしたり、遺言書情報証明書の交付を受けた場合、その他の相続人全員に対して案内が届きます。 ※通知には死亡時通知もあります。 こちらは遺言者があらかじめ通知を希望している場合、遺言書保管所において戸籍担当部局との連携によって遺言者の死亡の事実が確認できた際に、その対象者に対して案内が届きます。
遺言者が亡くなると、相続が開始します。 遺言者が自筆証書遺言書保管制度を利用していた場合、相続人等は法務局で主に次の手続ができます。 ※これらの手続は、遺言者が亡くなった後でなければ行うことができません。
相続が開始されると、相続人等は、自分が相続人等になっている特定の遺言者の遺言書が保管されているかどうかの証明書を取得できます。
自分を相続人等とする遺言書が保管されていることが遺言書保管事実証明書で確認ができた場合に、遺言書の写しを取得できます。
自筆証書遺言書保管制度についてご紹介しました。 自筆証書遺言書保管制度は、自筆証書遺言のメリットは損なわずに、自筆証書遺言の保管面の問題点を解消するための方策として創設されました。保管の申請をされた場合には、ご家族のどなたかにその旨をお伝えになると、相続開始後の手続もスムーズに行われます。なお、自筆証書遺言書保管制度についてわからない事があれば、早めに専門家に相談されることをオススメします。
監修
川原田慶太 司法書士
1976年生、京大法卒。東京・大阪を中心に、シニア向けに成年後見や家族信託、遺言などの法務を軸とした財産管理業務専門チームを結成。現在、延べ1000名の方々との財産管理顧問として業務を展開。 日本経済新聞電子版にて「司法書士が見た相続トラブル百科」を長期連載他、TV(情報ライブ「ミヤネ屋」、グッドモーニングなど)出演。金融機関を中心に相続セミナー講師を多数歴任し、著書に『司法書士は見た実録相続トラブル』(日経出版)がある。
司法書士法人ゆずりは後見センター(https://yuzuriha-kouken.jp/)
橋本珠美
2001年4月、株式会社ユメコムを起ち上げ、介護・福祉の法人マーケットを中心に、誰もが高齢社会を安心して過ごすためのコンサルティングを始める。 また「高齢者と高齢者を抱える現役世代」のための相談窓口「シニアサポートデスク」「ワーク&ケアヘルプライン」を運営し、高齢者やそのご家族の幅広いお悩み(介護・相続・すまいなど)にお応えしている。 相談窓口の事例と自身の経験(ダブルケア)を取り入れたセミナー活動は好評を得ている。
株式会社ユメコム(https://www.yumecom.com)
公開日:2022年12月2日
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