まごころ介護のお役立ちコラム
MAGOCORO COLUMN
現代の相続事情の背景から、遺された家族が困らないように、2019年1月から段階的に相続法が改正されています。
今回は相続人による「遺産分割前の相続預金の払戻し制度(民法909条の2)」についてご紹介します。
以前までは、(相続人間での争いがある中で)被相続人の相続財産である預貯金の払戻しをする際には、家庭裁判所に遺産分割調停または審判を申し立て、預貯金債権に関する仮分割の仮処分の手続きが必要でした。
相続法が改正され、預金が遺産分割の対象となる場合において、相続人は遺産分割協議を始める前でも家庭裁判所の手続きを経ることなく一定の範囲で預金の払戻しを受けることができるようになりました。
制度利用にあたっては、預金の払戻しを請求される方が相続人であること、および払戻しを請求される方の法定相続分であることが求められるため、その確認ができる書類や資料については、各金融機関にお問い合わせいただくのがよいと思います。
●葬儀費用や相続人の生活費に充てることができる
●被相続人が入院・介護施設に入所していた場合の費用や、借金を返済できる
預金の払戻し制度を利用するメリットは、家庭裁判所の判断を経なくても被相続人名義の預金を相続人が利用できることです。
生活費や葬儀費用の支払い、相続責務の弁済などでお金が必要な場合であっても、遺産分割が終了するまでの間は、被相続人の預金の払戻しができず、不便な状況が続いていました。
これに対し、被相続人の預金から支払うことができれば相続人の負担はかなり少なくなることが見込めます。被相続人の預金から払戻しを受けることで、相続後も生活費などに迅速に充てることが可能になります。
被相続人
母 (父はすでに他界)
相続人
長女、次女
相続法改正前
口座名義人(被相続人)が死亡した際、遺産分割が終了するまでの間は、各相続人が単独で預貯金の払戻しはできませんでした。
生活費や、相続費用の支払い、相続債務の弁済など、資金需要がある場合でも被相続人の預金の払戻しはできませんでした。葬儀費用等の支払いに困ることもありました。
相続法改正後
遺産分割における公平性を図りながら、相続人の資金需要に対応できるように、相続預金のうち一定額については、相続人単独で取引銀行窓口で払戻しを受けられるようになりました。
家庭裁判所の判断を経ずに単独で払戻しができる額
払戻し金額については、いくつか細かい要件がありますが、下記の計算式のようになります。
相続開始時の預貯金債権の金額(口座基準)× 1/3 × 払戻しを行う共同相続人の法定相続分
(例)
A銀行の口座に預金額が600 万円があるとすると
600万円 × 1/3 × 1/2 = 100万円
※ただし、1 つの金融機関から払戻しが受けられるのは150万円が上限となります。
今回は遺産分割前の相続預金の払戻し制度についてご紹介しました。
近年の相続人の資金需要に対応できるように創設された制度です。遺された家族がお金で困らないように、相続の基礎知識を知っておくのも大切です。しかし、相続法は段階的に改正されていますので、分からない事があれば早めに専門家へ相談することをオススメします。
公開日:2022年10月21日 更新日:2025年2月6日
24時間365日 通話料無料でご相談