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サービス拒否の利用者にどう対応する?適切な待ち方とアプローチ法を解説

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サービス拒否の利用者にどう対応する?適切な待ち方とアプローチ法を解説

地域包括支援センターでは、介護サービスを拒否する利用者にどのように関わるべきか、多くの相談が寄せられます。
「サービスに繋がらない場合、どうしたらいい?」という疑問に対し、適切な対応方法を解説します。

結論から言うと、サービス導入のきっかけは「本人や家族が困った時」です。
そのため、「待つこと」が重要ですが、ただ放置するのではなく、適切な「待ち方」と「アプローチ」が求められます。

本記事では、拒否する利用者の心理状態を理解し、どのように関わるべきか、具体的な方法を紹介します。

拒否する利用者の心理とは?

サービスを拒否する利用者の心理は、大きく分けて2つのパターンがあります。

1.「人の助けは必要ない」と思っている状態

高齢者の中には、「自分でできる」「人の世話にはなりたくない」という強い自尊心を持つ方がいます。
介護を受けることに対する違和感や抵抗感から、サービスを拒否するケースです。特に男性の場合、その傾向が強いとされています。

  • これまで自力で生きてきたというプライドがある

  • 介護や支援を受けることを「負け」や「弱さ」と捉えてしまう

2.「人の助けは必要だけど、信用できない」と思っている状態

初めての場所や人と接することへの不安、施設で何をするのか分からないという情報不足からくる恐怖心が、サービス拒否の原因となることがあります。過去の経験や先入観も影響します。
また、認知症や精神的な疾患により、他者との関わりを避ける傾向が強まることがあります。自分の状況を理解できなかったり、他者への不信感から、サービスを拒否するケースです。

  • 過去の経験から人間不信になっている

  • 誰かに助けを求めたいが、どう伝えていいかわからない

利用者の言葉として表すなら、
「ほっといてくれ」 あるいは 「どうせ俺のことなんか誰も助けちゃくれない」 というもの。
しかし、心の奥底には「助けてほしい」という気持ちが潜んでいます。

そのため、介護職員が「自分には何もできない」と悲観する必要はありません。
重要なのは、「拒否=完全な拒絶ではない」と理解することです。

怒る高齢者

拒否する利用者へのアプローチ方法

サービス導入のタイミングは「本人や家族が困った時」です。
しかし、今すぐ困っていなくても、関係を築いておくことが大切です。

1.「気にしています」というメッセージを伝える

直接会えない場合でも、名刺やメモを残し、「心配しています。何かお力になれることはありませんか?」といったメッセージを伝えることで、利用者に安心感を与えます。
これにより、後日相談を受けるきっかけを作ることができます。実際、名刺を見た利用者から怒りの電話がかかってきたケースもありましたが、その怒りがきっかけで関係が築かれ、最終的に支援につながりました。
怒りの裏側には「本当は助けてほしい」という気持ちが隠れていることも多いのです。

  • 直接会えない場合は、メモを残す

  • 名刺に「心配しています。何かお力になれることはありませんか?」と添える

  • こまめに訪問し、顔を見せる

2. 定期的に訪問し、忘れない仕組みを作る

カレンダーやリマインダーを活用し、定期的に訪問する予定を立てることで、利用者との関係を継続的に維持できます。
また、民生委員や地域住民との連携を強化し、情報共有のネットワークを構築することも効果的です。これにより、利用者の状況に変化があった際に迅速に対応できます。

  • 3カ月後に再訪問の予定をカレンダーに記録

  • 民生委員と定期的に情報共有

  • 住民とのネットワークを活用し、異変を察知できる体制を整える

ある利用者から「震災のとき、お前は来なかったな」と言われたことがあります。
その時、「気にしていることは形にしないと伝わらない」と痛感した一方で、最初はこちらが一方的に気にする形で始まった関係も、続けていく中で利用者からも気にかけてもらえる相互のつながりになっていくのだと感じました。

訪問介護

3. 利用者のペースを尊重し、無理に説得しない

利用者の意思を尊重し、無理にサービス利用を促すのではなく、利用者のペースに合わせて関わることが重要です。
例えば、「一度見に行くだけでもいいですよ」と提案し、ハードルを下げることで、利用者の不安を軽減できます。また、「初めての場所は不安ですよね」と共感の言葉をかけることで、利用者は心を開きやすくなります。
「介入しない=無関心」ではなく、「気にしているけど、あなたのペースを尊重します」というスタンスを持つことが重要です。

  • こちらの存在を伝え続ける

  • 相談のタイミングを利用者が決められるようにする

  • 無理に説得しない

4. 家族との連携を強化する

利用者が家族の意向を重視する場合、家族との連携が重要です。
例えば、家族が初回利用に付き添うことで安心感を与えたり、デイサービスでの楽しそうなエピソードを家庭で共有することで、ポジティブなイメージを築けます。

5. 利用者の趣味や興味に合わせた提案を行う

利用者の趣味や興味を把握し、それに関連する活動やプログラムを提案することで、サービス利用への意欲を高めることができます。
例えば、釣りが趣味の利用者には、「デイサービスには釣り好きの方が集まるクラブがありますよ」と伝えたり、読書が好きな方には「図書室が充実している施設を見学してみませんか?」と提案することで、サービスの魅力を伝えやすくなります。

また、実際にデイサービスを利用した方の体験談や、楽しそうに過ごしている写真・動画などを見せることで、サービスへの抵抗感を減らすことができます。
特に、同年代の利用者が楽しんでいる様子を伝えると、安心感につながることが多いです。

施設見学

忘れない仕組みを作ることが大切

支援が必要な人は多く、日々の業務の中で忘れてしまうこともあります。
そこで、支援が必要な人を忘れずにフォローできるよう、以下のような仕組みを作りましょう。

1. カレンダーで訪問予定を管理

  • 3カ月後、半年後など定期的に訪問をスケジュール化

  • 重要なケースはチームで共有

2. 民生委員や地域住民との連携

  • 地域住民の目を活用し、異変があれば情報を得る

  • 民生委員との定期的な連携を強化

3. 相談を集める「網の目」を作る

  • 「何かあれば連絡をください」と周囲に伝えておく

  • 利用者にとって連絡しやすい手段を用意する(LINE、電話など)

  • 家族向けの説明会を定期的に開催し、相談のハードルを下げる

このような仕組みを作ることで、「気にしています」というメッセージを途切れさせないことが重要です。

連絡

まとめ:サービス拒否の利用者とは「適切に待つ」ことが重要

介護サービスを拒否する利用者に対して、最も大切なのは 「無理に説得しないこと」 です。
関係を築くためにできることは、「気にしています」というメッセージを伝えながら、適切に待つこと。

具体的な方法としては、以下の通りです。

  • メモや名刺を残し、関心を示す

  • 定期的に訪問し、関係を築く

  • 地域住民や民生委員と連携し、忘れない仕組みを作る

  • 利用者の興味・関心に合わせた提案を行う

  • 家族とも連携し、サポート体制を整える

これらを実践することで、利用者が本当に困った時、自然と相談してくれる環境を作ることができます。

 

\ 福祉の福ちゃんが講師を務める「介護・福祉セミナー」を開催しています /

監修

福井 寛之

You Tuber 福祉の福ちゃん

福井 寛之(ふくい ひろゆき)

専門分野
社会福祉士・介護福祉士・介護支援専門員(ケアマネージャー)

公開日:2025年2月18日 

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