まごころ介護のお役立ち動画コラム
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2027年介護報酬改定へ!介護業界生き残り戦略3選!
前回は、2024年介護報酬改定居宅編をお届けし、居宅介護支援に関する改定点をご紹介いたしました。
2024年の介護報酬改定が進行中ですが、さらに2027年に控える次回の改定に向け、介護業界が直面する課題とその対策について考えることが急務です。
本記事では、業界が生き残るために「変化」に焦点を当て、具体的な戦略を3つの視点から提案します。
日本は、世界でも類を見ない超少子高齢社会に直面しています。
総務省統計局のデータによれば、2023年10月1日現在の総人口は1億2,435万2千人で、前年に比べ59万5千人(-0.48%)減少し、13年連続の減少となっています。
年齢別に見ると、65歳以上の人口は3,622万7千人で、総人口の29.1%を占め、過去最高となっています。
出典:総務省統計局
このような人口動態の変化は、労働力の減少や社会保障制度への負担増加など、社会全体に深刻な影響を及ぼしています。
また、独居高齢者の増加も顕著で、2050年には高齢者の一人暮らしが47%増加すると予測されています。
このような状況下で、介護業界は人手不足やサービスの質の維持といった課題に直面しており、効果的な対策が求められています。
特に深刻なのは、介護現場における働き手不足です。文句を言うだけでは何も変わりません。
「変化」を受け入れる柔軟性が、未来を切り開く鍵となります。ダーウィンの進化論が示すように、生き残るのは変化できる者だけです。
では、どのように変化すべきなのか?「ヒト」「モノ」「カネ」の3つの視点から具体的な取り組みを解説します。
介護業界では、深刻な人手不足が続いています。
2040年には約69万人の介護職が不足するとの予測もあります。
この問題を解決するためには、多様な働き方の導入が不可欠です。
柔軟な勤務形態の導入
副業や短時間勤務、週に1度だけの勤務など、従来の固定的な働き方を見直す必要があります。
例えば、週に1回や月に1回の勤務でも可能な業務を設定し、多様な人材の活用を促進します。また、介護助手の活用も有効な手段です。
外国人労働者の活用
外国人労働者の受け入れは、介護業界の人手不足解消に向けた重要な施策です。
しかし、育成には時間がかかるため、早期からの採用計画が求められます。文化や言語の壁を乗り越えるための教育プログラムの整備も欠かせません。
例えば、インドネシアやフィリピンからの介護人材の受け入れが進んでおり、これらの国との連携強化が期待されています。
副業禁止の見直し
多くの職員が副業を希望する背景には、賃金の問題があります。
副業禁止がかえって職員のやる気を削ぐ可能性があるため、柔軟な対応を検討すべきです。
例えば、夜勤のバイトを許可することで、職員のモチベーション向上や収入増加につながるケースもあります。
人材の確保だけでなく、育成と定着も重要な課題です。以下の施策が効果的とされています。
働きやすい労働環境の整備
IT・システムの導入やユニットケアの導入など、業務効率化と職場環境の改善が求められます。
例えば、シフト管理や勤怠管理アプリの導入により、業務の効率化が図れます。また、産前産後休暇や育児休暇の充実、男性の育児休暇取得の推奨など、柔軟な働き方の導入も効果的です。
介護福祉士資格取得の推奨
資格取得支援制度の活用により、職員のスキルアップとモチベーション向上が期待できます。
例えば、介護福祉士の養成学校に通う際の貸付制度や、資格取得後の返済免除制度などがあります。
介護職のイメージアップ施策
給与改善や広報活動を通じて、介護職の社会的評価を高める取り組みが必要です。
例えば、政府は勤続10年以上の介護福祉士に対し、月額平均8万円相当の処遇改善を行うと発表しています。また、介護職の魅力を伝える広報活動や、介護現場の実情を知ってもらうためのイベント開催なども効果的です。
介護業界は長らくデジタル化に対する抵抗感が強い状況が続いています。しかし、変化を拒み続けていては未来はありません。
科学的介護情報システムLIFEの活用
LIFEは、介護現場のデータを収集・分析し、質の高い介護サービスの提供を支援するシステムです。
データを蓄積し、効果的な介護を実現しましょう。LIFEはまだ始まったばかりの新しいものですが、将来的に大きな価値をもたらすツールです。
ケアプランデータ連携システムの導入
2023年以降、これらのシステム活用が本格化しています。早めの対応が他事業所との差別化につながります。
ケアプランのデータ連携により、利用者の情報共有がスムーズになり、サービスの質向上が期待できます。
無駄を省く会議運営や研修方法
動画研修の導入やオンライン会議の活用で、無駄を排除し効率的な業務運営を実現しましょう。
例えば、普遍的に使える動画研修を活用することで、時間や場所にとらわれずに研修を行うことができます。また、オンライン会議の導入により、移動時間の削減や迅速な意思決定が可能となります。
介護現場では、ロボット技術やIoT(モノのインターネット)の導入が進んでいます。
これらは、介護スタッフの負担軽減や業務効率化に寄与すると期待されています。
介護ロボットの導入
移乗支援や見守り機能を持つロボットの活用が広がっています。
例えば、転倒予防のためのセンサーや、入浴や移動をサポートする機器など、様々な用途での利用が進んでいます。
これにより、スタッフの身体的負担を軽減し、利用者の安全性を高めることができます。
IoTの活用
ベッドや車椅子などにセンサーを設置し、利用者の状態をリアルタイムで把握するシステムが普及しつつあります。これにより、異常を早期に検知し、迅速な対応が可能となります。また、施設全体の設備管理やエネルギー効率化にも貢献します。
電子記録システムの導入
紙ベースの記録管理を電子化することで、事務作業の効率化が図れます。
記録ミスを防ぎ、職員間での情報共有が円滑になることが期待されています。
介護事業所が持続可能な経営を行うには、適切な加算取得が重要です。
見落としている加算がないか再確認し、収益を最大化する努力をしましょう。
特定事業所加算の取得
特定事業所加算を取得するには一定の要件を満たす必要がありますが、事業所全体の収益増加に大きく寄与します。
例えば、研修体制の整備や、職員のスキル向上を通じて加算取得の条件を満たす取り組みを進めましょう。
交通費や付帯費用の見直し
地方の事業所では、これまで請求していなかった交通費や付帯費用を正確に計上することで、経営改善を図る動きがあります。
これにより、負担の公平化と収益向上が可能になります。
介護保険外サービスの強化
利用者のニーズに応じた独自のサービスを展開することで、新たな収益源を確保できます。
例として、通院や買い物支援、家事代行など、従来の介護サービスには含まれない付加価値の高いサービスを提供することが挙げられます。
助成金の活用
国や自治体が提供する介護事業者向けの助成金制度を最大限活用しましょう。
例えば、ICT機器導入や人材育成に関する補助金など、多岐にわたる支援制度が用意されています。
地域包括支援センターとの連携
地域包括支援センターや自治体と連携し、利用者のニーズを適切に共有することが重要です。
地域連携によって、新たな利用者獲得やサービス拡充が期待できます。
2027年の介護報酬改定に向けた準備は、今から取り組むことが重要です。事業所ごとに直面する課題は異なりますが、共通して言えるのは「変化」への対応力が生き残りの鍵を握るという点です。「ヒト」「モノ」「カネ」の3つの視点をバランスよく改革し、持続可能な運営体制を構築しましょう。
業界全体で協力し合い、新しい仕組みや取り組みを取り入れることで、未来の介護業界を切り開いていくことができます。社会全体で支え合いながら、高齢者が安心して暮らせる環境を作るための挑戦を、これからも続けていきましょう。
\ 福祉の福ちゃんが講師を務める「介護・福祉セミナー」を開催しています /
監修
福井寛之(ふくい ひろゆき)
社会福祉士・介護福祉士・介護支援専門員(ケアマネージャー)
You Tuber 福祉の福ちゃん
経歴:特別養護老人ホーム、デイサービスで7年の介護経験。
在宅介護支援センター、地域包括支援センターで14年経験、センター長として勤務。
小学校、中学校の授業を通して認知症講座を開催。
在宅福祉の相談に数多く関わってきた経験から、また、認知症の祖父母を在宅で介護、看取りを行った経験から様々な講演を開催。
公開日:2024年12月2日
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