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【プロが解説】高齢者虐待対応の実務!相談から支援までの具体策とは?

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高齢者虐待防止研修【実践編】地域包括支援センター長が解説!

高齢者虐待防止において大切なのは、虐待の種類を知ることだけでなく、その背景を理解し、適切な対応を行うことです。
本記事では、相談を受けた際に気をつけるべき視点や具体的な対応方法について解説します。

高齢者虐待防止法の目的

「高齢者虐待防止法」は、虐待を受ける高齢者を保護するだけでなく、虐待を行ってしまった家族を支援し、再発防止につなげることも重要視しています。
介護ストレスや経済的な問題など、さまざまな要因が絡み合い、虐待が発生するケースも多いため、支援者としてどのような対応ができるのかを考えることが重要です。

【高齢者虐待の主な類型】

  • 身体的虐待:殴る・蹴るなど身体に危害を加える行為

  • 心理的虐待:暴言や威圧的な態度で精神的苦痛を与える

  • 経済的虐待:財産を勝手に管理したり搾取する

  • 介護放棄(ネグレクト):必要なケアを怠る

  • 性的虐待:性的な行為を強要する

虐待をしてしまう家族の多くは、「故意」ではなく「介護ストレス」や「孤立」などの問題を抱えています。
そのため、虐待の根本的な原因を取り除くための支援が必要です。

介護ストレス

高齢者虐待が起こる背景

認知症の介護は想像以上に大変であり、介護者が抱えるストレスが虐待につながることもあります。

虐待につながる要因

  • 経済的問題:コロナ禍などで職を失い、収入が減少。

  • 社会的孤立:相談できる相手がいない。

  • 介護の知識不足:適切な介護方法を知らず、負担が増加。

これらの問題を解決するには、地域包括支援センターや介護保険サービスを活用することが重要です。

孤立

高齢者虐待対応の実務

① 通報を受けた際の対応【心構え】

虐待の相談を受けた際、支援者は以下の3つを意識することが重要です。

【ポイント】

  • 安心して話せる雰囲気を作る
    ・相談者が緊張している場合が多いので、焦らせずじっくり話を聞く。

  • 相談してくれたことを認める
    ・「相談してくれてありがとうございます」と伝えることで、次回の相談につながる。

  • 「またいつでも相談してください」と伝える
    ・相談を継続的に受けることで、虐待の深刻度や背景を詳しく把握できる。

② 緊急性の判断【見るべき視点】

緊急性を判断するには、客観的情報の収集が不可欠です。

【情報収集のポイント】

  • 通報内容の詳細確認
    ・「怒鳴り声が聞こえる」→どのような内容か具体的に聞く。

  • 周囲の人からの情報収集
    ・近隣住民、民生委員、ケアマネジャーに聞き取りを行う。

  • 本人の状態確認
    ・認知症がある場合は、表情や行動から状況を判断する。

【緊急性が高いケース】

  • 本人の状態
    ・顔にあざがある、脱水症状、衰弱している。
    ・電気・ガス・水道が止められている。
    ・本人が「助けてほしい」と訴えている。

  • 虐待者の状態
    ・うつ病や精神疾患の疑いがある。
    ・乱暴な言葉づかいや暴力的な行動が見られる。
    ・支援を拒否している。

緊急性が高い場合は、すぐに市役所や警察と連携し、適切な措置を講じる必要があります。

③ 対応方針の決定【対応の進め方】

緊急性の高い場合は、市区町村や警察と連携し、適切な措置を講じる必要があります。

【対応の流れ】

  • 客観的情報をできるだけ多く集める
    ・相談者、周囲の人、ケアマネ、医療機関、役所などから情報を得る。

  • 市区町村と連携し、チームで対応を判断
    ・包括支援センター単独ではなく、市役所・警察・介護事業所と協力する。

  • 緊急性が高ければ、一時的な保護を検討
    ・特別養護老人ホームやショートステイの利用を調整。

支援者としての視点「役割分担」の重要性

支援者が注意すべきなのは、自分の価値観で判断しないことです。

以前、虐待を行っていた息子に対し、センター長自らが施設入所の通達をしました。
しかし、数年後、その息子は孤独死してしまいました。
本来ならば、この対応は行政が行うべきであり、地域包括支援センターは「いつでも相談できる場所」として機能し続けるべきでした。

虐待対応において大切なのは、「支援者が適切な役割を果たすこと」です。
地域包括支援センターは「最後の砦」として機能し続けるべきであり、過度に介入しすぎると、支援を求める人が相談しにくくなる可能性があります。

【支援のポイント】

  • 地域包括支援センターは「最後の砦」
    ・相談しやすい窓口を維持する。

  • 役割分担を明確にする
    ・行政や警察と連携し、対応を分担。

  • 虐待を行った家族も支援対象
    ・介護ストレスを抱える家族に対し、支援の手を差し伸べる。

虐待者も支援を必要としている可能性があるため、包括的な支援が求められます。

介護の負担を減らすために

介護は一人で抱え込んではいけません。ストレスに強い人でも、長期間にわたる介護は精神的・肉体的な負担が大きいものです。

【相談先】

  • 地域包括支援センター

  • 介護保険事業所

  • ケアマネジャー

地域には、介護の負担を軽減するための支援がたくさんあります。
一人で悩まず、まずは相談してみましょう!

相談

まとめ

高齢者虐待防止の対応では、単に虐待を止めることだけでなく、その背景にある課題を見極め、適切な支援を行うことが重要です。
虐待者もまた支援を必要としている可能性があるため、包括的な支援を心がけましょう。
介護は一人で抱え込まず、相談できる場所を活用することが大切です!

 

\ 福祉の福ちゃんが講師を務める「介護・福祉セミナー」を開催しています /

監修

福井 寛之

You Tuber 福祉の福ちゃん

福井 寛之(ふくい ひろゆき)

専門分野
社会福祉士・介護福祉士・介護支援専門員(ケアマネージャー)

公開日:2025年3月24日 

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