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知らないと3年間損する!介護報酬改定10選~居宅編~
2024年の介護報酬改定では、居宅介護支援においていくつかの重要な変更が加えられました。
これらの改定内容は次の3年間適用されるため、しっかり理解し対応する必要があります。
今回の改定では、報酬単位の見直しや担当件数の引き上げ、テレワークの導入などが大きなポイントです。
これらの改定により、ケアマネージャーの業務がより効率的に進められることが期待される反面、各事業所が対応を怠ると減算や業務負担が増加する可能性もあります。
目次
まず最初に注目すべきは、居宅介護支援費の基本報酬の引き上げです。具体的には、要介護度に応じて次のように変更されています。
区分 | 改定前単位 要介護1〜2 |
改定後単位 要介護1〜2 |
増減 |
---|---|---|---|
居宅介護支援(ⅰ) | 1,076単位 | 1,086単位 | +10単位 |
居宅介護支援(ⅱ) | 539単位 | 544単位 | +5単位 |
居宅介護支援(ⅲ) | 323単位 | 326単位 | +3単位 |
区分 | 改定前単位 要介護3〜5 |
改定後単位 要介護3〜5 |
増減 |
---|---|---|---|
居宅介護支援(ⅰ) | 1,398単位 | 1,411単位 | +13単位 |
居宅介護支援(ⅱ) | 698単位 | 704単位 | +6単位 |
居宅介護支援(ⅲ) | 418単位 | 422単位 | +4単位 |
区分 | 改定前単位 要介護1〜2 |
改定後単位 要介護1〜2 |
増減 |
---|---|---|---|
居宅介護支援(ⅰ) | 1,076単位 | 1,086単位 | +10単位 |
居宅介護支援(ⅱ) | 522単位 | 527単位 | +5単位 |
居宅介護支援(ⅲ) | 313単位 | 316単位 | +3単位 |
区分 | 改定前単位 要介護3〜5 |
改定後単位 要介護3〜5 |
増減 |
---|---|---|---|
居宅介護支援(ⅰ) | 1,398単位 | 1,411単位 | +13単位 |
居宅介護支援(ⅱ) | 677単位 | 683単位 | +6単位 |
居宅介護支援(ⅲ) | 406単位 | 410単位 | +4単位 |
この報酬単位の引き上げは、ケアマネージャーの収入増加につながるだけでなく、事業所全体の財務にもプラスの影響を与えます。
特に小規模な事業所では、少しの報酬増加が運営に大きな違いをもたらすこともあり、この引き上げは歓迎されるポイントでしょう。
これに加え、特定事業所加算の引き上げも影響し、全体的な収入がアップすることが予想されます。
報酬が増加する一方で、ケアマネージャーの業務量が増加する可能性もあります。
そのため、増加する報酬に見合った業務効率化や、事業所内でのチームワークの強化が今後の課題となります。
報酬増加を活かすために、業務フローの見直しや効率的な業務配分を行うことが重要です。
特定事業所加算も14単位引き上げられました。
また、加算の要件として「ヤングケアラーや障害者、生活困窮者など他の制度に関する知識を得るための研修に参加していること」が追加されました。
区分 | 改定前単位 | 改定後単位 | 増減 |
---|---|---|---|
特定事業所加算(Ⅰ) | 505単位/月 | 519単位/月 | +14単位 |
特定事業所加算(Ⅱ) | 407単位/月 | 421単位/月 | +17単位 |
特定事業所加算(Ⅲ) | 309単位/月 | 323単位/月 | +14単位 |
特定事業所加算(Ⅳ) | 100単位/月 | 114単位/月 | +14単位 |
これにより、ケアマネージャーの知識拡充が求められ、より広い範囲での支援が可能となります。
ヤングケアラーに対する支援の強化は、今後の介護業界全体にとっても重要な課題です。
家族内で介護を担う若年層への対応が今後ますます求められるため、こうした知識の向上がケアマネージャーの専門性をさらに高めることになります。
また、特定事業所加算の要件として、毎月の書類チェックにかかる負担を軽減する目的で、一部の運営基準が削除されました。
これにより、ケアマネージャーはより本質的な業務に集中できるようになると期待されています。
ケアマネージャーが担当できる件数が見直されました。
・居宅介護支援費(Ⅰ):これまで40件だった担当件数の上限が45件へ引き上げられました。
これにより、ケアマネージャーはさらに多くの利用者を担当できるようになります。
・居宅介護支援費(Ⅱ):45件から50件へと上限が引き上げられました。
ただし、この適用には事務員の配置やケアプランデータ連携システムの活用が新たな要件として追加されています。
また、要支援者の担当件数の計算方法も見直されました。
従来は要支援者2件を担当すると要介護1件分と換算されていましたが、今後は要支援者3件で要介護1件分とする形に変更されました。
この改定は、ケアマネージャーの業務負担をより正確に反映させるためのものです。
では、今回の改定で実際にケアマネージャーの月額報酬がどれぐらい上がるのかシミュレーションしてみましょう。
仮に1人のケアマネージャーが44件の利用者を担当した場合、そのうち要介護1~2の利用者が22件、要介護3~5の利用者が22件いたとします。
この場合、月額で約1万2120円の報酬増加が見込まれます。
日本全国で平均的なケアマネージャーが担当する件数は31.8件とされていますが、仮に32件の利用者を担当し、そのうち要介護1~2が16件、要介護3~5が16件であった場合、月額で約8070円の増加が期待されます。
これが、複数のケアマネージャーがいる事業所ではさらなる増収に繋がるでしょう。
こうしたシミュレーションを基に、事業所の経営計画を立てることが重要です。
2024年の改定では、介護予防支援を居宅介護支援事業所が直接実施できるようになりました。
これにより、従来は地域包括支援センターからの委託でしか行えなかった介護予防支援が、居宅介護支援事業所でも可能になります。
報酬単位は472単位で、委託の場合と比較してわずか30単位の差です。
これにより、事業所は新たな収益源を得ることができ、また、利用者のニーズにより柔軟に対応できるようになります。
今後、介護予防支援の重要性が増す中で、この改定は大きなメリットと言えるでしょう。
従来は毎月1回の訪問が原則でしたが、改定により要介護者に対しては2ヶ月に1回、要支援者には6ヶ月に1回の訪問が要件として緩和されました。
この変更により、ケアマネージャーの負担が軽減され、テレビ電話やビデオ通話によるモニタリングも認められています。
訪問頻度の緩和は、ケアマネージャーの業務負担を軽減する重要な改定です。
これにより、より多くの利用者に対して質の高いケアマネジメントを提供できるだけでなく、遠隔地に住む利用者にも効率的に対応することが可能となります。
BCP(事業継続計画)の未実施に対する減算措置が導入されました。
2024年3月までは努力義務でしたが、2024年4月以降は義務化され、未実施の場合は減算の対象となります。
BCPの策定と実行が必須となるため、事業所は早急に対応する必要があります。
BCPの策定は自然災害や感染症の流行など、予測不可能なリスクに対する事業の継続性を確保するために重要です。
この対応が遅れると、報酬の減額だけでなく、事業所の信頼性にも影響を及ぼしかねません。自治体や介護関連の外部機関が提供する資料を参考に、早期に準備を進めましょう。
テレワークが正式に介護報酬改定の中で認められるようになりました。
個人情報の適切な管理や利用者のサービスに支障がないことを前提に、ケアマネージャーもテレワークで業務を行うことが可能となります。
これにより、柔軟な働き方が可能となり、働き手の負担軽減が期待されます。
特に、これまで通勤や現場訪問が負担だったケアマネージャーにとって、テレワークの導入は画期的な変化と言えます。
事業所としては、テレワーク環境の整備や、情報セキュリティの強化に取り組む必要がありますが、働きやすさの向上に寄与することは間違いありません。
ターミナルマネジメント加算(400単位)は、末期の悪性腫瘍以外の疾患にも対象が拡大されました。
利用者の最終段階の意向を適切に把握することが求められ、利用者の希望に応じたケアが行われることが期待されます。
また、特定事業所医療連携加算におけるターミナルケアマネジメントの加算の要件が前々年度の3月~前年度の2月までのターミナルケアマネジメント加算の要件が5回以上から15回以上と回数が厳しく見直されます。
通院時情報連携加算は、これまで医師の診察にケアマネージャーが同席した場合に50単位の通院時情報連携加算が算定されていましたが、
対象が歯科医師にも拡大されます。
入院時情報連携加算の算定要件が変更され、迅速な連携が求められるようになりました。
これまで入院時情報連携加算(Ⅰ)として3日以内の情報提供で200単位算定されていたものが、
入院当日に情報提供を行うことで250単位が算定されるようになり、情報提供の期限もこれまでより短縮されています。
入院時情報連携加算(Ⅱ)においては、4~7日以内で100単位だったものが、
3日以内で200単位に変更されています。
居宅介護支援事業所においても、同一建物に住む利用者が多い場合に減算が適用されるようになりました。
同一建物でのサービス提供が集中する場合は、報酬が5%減算されるため、注意が必要です。
居宅での適用要件としては、
利用者が居宅介護支援事業所と同一建物・隣接する建物に入居している場合、人数に関係なく、5%減算が適用されます。
距離が離れていても、20人以上の利用者が居住する建物に該当する場合、5%の減算が適用されます。
2024年の介護報酬改定では、居宅介護支援に関する報酬や要件が見直され、ケアマネージャーの負担軽減や業務の効率化が図られています。
これらの改定点をしっかり理解し、適切に対応していくことで、より質の高いサービス提供が可能となります。
特に、テレワークの導入や担当件数の見直しなどは、業務の効率化に大いに役立つでしょう。
次回の改定までの3年間、この改定内容を理解し、日々の業務に活かしていくことが重要です。
また、次回の報酬改定に備えて、今後も最新の情報をキャッチアップしていきましょう。
\ 福祉の福ちゃんが講師を務める「介護・福祉セミナー」を開催しています /
監修
福井寛之(ふくい ひろゆき)
社会福祉士・介護福祉士・介護支援専門員(ケアマネージャー)
You Tuber 福祉の福ちゃん
経歴:特別養護老人ホーム、デイサービスで7年の介護経験。
在宅介護支援センター、地域包括支援センターで14年経験、センター長として勤務。
小学校、中学校の授業を通して認知症講座を開催。
在宅福祉の相談に数多く関わってきた経験から、また、認知症の祖父母を在宅で介護、看取りを行った経験から様々な講演を開催。
公開日:2024年10月22日 更新日:2024年10月24日
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