まごころ介護のお役立ち動画コラム
MAGOCORO MOVIE COLUMN
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現場で使える「ごめんね、臭いでしょ」に対する声がけ
目次
介護現場での「声掛け」は、利用者の尊厳を守り、信頼関係を築く上で欠かせないスキルです。
特に排泄介助における「ごめんね、臭いでしょ」という場面では、利用者の羞恥心や不安に寄り添う対応が求められます。
この記事では、この具体例を通じて声掛けのコツや心構えを考えてみましょう。
突然トイレに行けなくなり、他人の手を借りなければならない状況。
多くの人が羞恥心や無力感を抱くでしょう。
介護現場では、こうした気持ちに寄り添うことが求められます。
「年を取ったから羞恥心がなくなる」というわけではありません。
認知症の利用者でも、羞恥心が完全に消えることはありません。
声掛けを通じて、利用者の気持ちを軽くする方法を考えてみましょう。
介護現場での「声掛け」は単なるコミュニケーション手段ではなく、利用者の心に寄り添い、安心感を提供するための重要なスキルです。その重要性について、以下のポイントで詳しく掘り下げてみましょう。
介護の現場では、利用者が身体的なサポートを必要としていることに対して羞恥心や不安を感じる場面が多々あります。そのような時に適切な声掛けを行うことで、利用者の尊厳を守ることができます。たとえば、排泄介助の際に「大丈夫ですよ」「私にお任せください」と優しく声をかけるだけで、利用者は気持ちが軽くなることがあります。
適切な声掛けは、利用者の心理的負担を大幅に軽減する効果があります。介護を受ける利用者は、身体的な不自由さだけでなく、「迷惑をかけているのではないか」という思いを抱くことがあります。そのため、「お手伝いできて嬉しいです」「これが私の仕事ですから、気にしないでくださいね」といった声掛けを行うことで、利用者の気持ちを和らげることができます。
声掛けは、利用者の表情や仕草を観察し、気持ちを察することから始まります。利用者が口に出さなくても、不安や緊張を感じている場合は、「何か気になることはありませんか?」「困ったことがあれば教えてくださいね」といった一言が安心感を与えます。観察力を磨き、適切なタイミングで声掛けをすることが重要です。
声掛けは、利用者と介護職員の間に信頼関係を築くための第一歩です。利用者は、日々の些細な声掛けを通じて「自分を気にかけてくれている」と感じます。この信頼感が、利用者が介護を受け入れる際の心理的な抵抗を軽減する要因となります。
例として、朝の挨拶や日常会話を積極的に行うことで、利用者は「この職員は自分に関心を持ってくれている」と感じ、信頼を寄せるようになります。
声掛けの大切さは、利用者だけでなく、職員同士の関係性にも影響を与えます。現場での声掛けの工夫を共有することで、より良いケアが実現できるだけでなく、職員間の連携もスムーズになります。「今日は〇〇さんが少し疲れているようなので、気を付けてください」といった一言が、チームケアの質を向上させるのです。
介護現場でよくある「ごめんね、臭いでしょ」という場面。ある職員のエピソードをご紹介します。
「いっぱい出てよかったですね。気持ち悪かったでしょう?」
この返答は、利用者に対して肯定的なメッセージを送り、安心感を与えます。
相手の羞恥心を和らげるだけでなく、健康状態を気遣う温かさも伝わります。
このエピソードを目撃した実習生が、振り返りの際に「衝撃的で感動した」と語ったそうです。
この経験が、彼女の中で大きな学びとなり、後輩への指導に活かされることでしょう。
介護現場では、こうした「背中を見せる教育」が重要です。
一人ひとりの小さな行動が、福祉の現場全体を温かくする可能性を秘めています。
声掛けを効果的に行うためのポイントを以下にまとめました。
1.優しいトーンで話す
急かしたり、威圧的な口調を避け、落ち着いた声で話しかけることが大切です。
2.具体的な言葉を使う
「少し待ってください」ではなく、「2分ほどお時間をいただけますか?」と具体的に伝えることで、利用者の不安を減らします。
3.小さな変化を見逃さない
「今日はお顔の色が良いですね」「最近食欲が出てきましたね」といった具体的な観察結果を伝えることで、利用者との距離が縮まります。
4.肯定的な言葉を選ぶ
否定的な表現ではなく、「こうしていただけると助かります」といった肯定的な言葉を使うことで、前向きな雰囲気を作ります。
介護現場での声掛けには、避けるべき表現や態度があります。以下に主なタブーを挙げます。
1.指示や命令口調
「~してください」「~しなさい」といった指示や命令は、利用者の自尊心を傷つける可能性があります。代わりに、「~していただけますか?」と依頼の形で伝えましょう。
2.禁止や否定的な言葉
「~してはダメ」「それは違います」といった否定的な表現は、利用者の意欲を削ぐことがあります。まずは相手の話を受け入れ、その上で適切な対応を考えましょう。
3.幼児語や上から目線の表現
「あーんして」「~してあげる」といった幼児語や上から目線の言葉は、利用者の尊厳を損なう恐れがあります。適切な敬称を用い、丁寧な言葉遣いを心がけましょう。
声掛けの工夫次第で、利用者の心理的な負担が軽減されるだけでなく、介護の質が向上します。些細な一言が、利用者にとって大きな安心や喜びにつながることを忘れず、日々の業務に取り組んでいきましょう。
介護現場での「ごめんね、臭いでしょ」に対する声掛けは、利用者の羞恥心に寄り添いながら、安心感を与える重要な場面です。今回の例を参考に、利用者との信頼関係を深める声掛け術をぜひ実践してみてください。
\ 福祉の福ちゃんが講師を務める「介護・福祉セミナー」を開催しています /
監修
福井寛之(ふくい ひろゆき)
社会福祉士・介護福祉士・介護支援専門員(ケアマネージャー)
You Tuber 福祉の福ちゃん
経歴:特別養護老人ホーム、デイサービスで7年の介護経験。
在宅介護支援センター、地域包括支援センターで14年経験、センター長として勤務。
小学校、中学校の授業を通して認知症講座を開催。
在宅福祉の相談に数多く関わってきた経験から、また、認知症の祖父母を在宅で介護、看取りを行った経験から様々な講演を開催。
公開日:2024年12月2日
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