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介護認定を成功に導くためのポイント~主治医の選び方と認定調査の注意点~

当サイトでは、動画の内容を加筆・編集して作成しています。

 

介護認定、認定調査を受けるポイント~包括センター長解説~

はじめに

厚生労働省の推計によれば、2024年時点で認知症を患う高齢者は約443万人に上り、軽度認知障害(MCI)の高齢者は約558万人とされています。
参照:令和6年版 高齢社会白書

この数字は、65歳以上の高齢者の約6人に1人が認知症を患うことを示しており、今後も高齢化の進行とともに増加が予想されています。

介護認定を受ける際、主治医の選定や受診のタイミング、そして認定調査時の対応が適切でないと、実際の状態よりも低い介護度が認定される可能性があります。
例えば、認知症が進行しているにもかかわらず、適切な情報が伝わらず非該当と判断されるケースも報告されています。

適切な介護サービスを受けるためには、主治医の選び方や受診時のポイント、認定調査を受ける際の注意点を理解し、正確な情報を提供することが重要です。
これにより、実際の状況に即した介護度が認定され、必要な支援を受けることが可能となります。

介護度が認定されるまでの流れ

介護認定を受けるには、いくつかのステップを経る必要があります。
この過程を正しく理解しておくことで、スムーズな申請と適切な認定結果につなげることができます。以下に、介護度が認定されるまでの一般的な流れを解説します。
要介護認定の手続きの流れ

1. 申請の手続き

介護認定の第一歩は、市区町村の窓口での申請です。
本人または家族が申請を行うことが一般的ですが、ケアマネージャーや地域包括支援センターに代行を依頼することもできます。

申請時には以下の書類が必要です。

  • 介護保険被保険者証

  • 医療機関の情報(主治医の名前や病院名など)

申請後、市区町村が認定調査の日程を調整し、訪問調査員が派遣されます。

2. 主治医の意見書作成

申請と並行して、主治医の意見書が作成されます。
主治医は、申請者の日常生活や身体状況について詳細に記載し、市区町村に直接送付します。

この意見書が認定調査と並び、介護度を決定する重要な資料となります。

3. 認定調査の実施

訪問調査員が、申請者の自宅や施設に訪問し、認定調査を行います。
この調査では74項目にわたる質問が行われ、介護に必要な手間や時間を数値化します。

調査内容には以下が含まれます。

  • 日常生活の能力(食事、着替え、排泄など)

  • 認知症の症状(記憶力、判断力)

  • 身体の状態(麻痺の有無、歩行能力)

調査結果は、後日「一次判定」としてシステムで判定されます。

4. 一次判定と審査会での二次判定

調査結果と主治医の意見書をもとに、システムが一次判定を行います。
その後、市区町村が設置する「介護認定審査会」において、医師や専門職が書類を精査し、最終的な二次判定を行います。

審査会では、申請者の実際の生活状況が適切に反映されているかを確認し、最終的な介護度が決定されます。

5. 認定結果の通知

申請から約30日以内に、申請者または家族に認定結果が通知されます。
この通知には、以下の情報が含まれます。

  • 要支援または要介護の認定結果

  • サービスを利用できる限度額

認定結果に納得がいかない場合、不服申し立てを行うことも可能です。
地域包括支援センターやケアマネージャーに相談して、必要な手続きを進めましょう。

主治医の意見書が不十分だったり、認定調査で情報が正確に伝わらないと、実際の状態より低い介護度が認定されることがあります。

この流れを理解し、適切な準備をすることで、より正確な認定結果を得ることができます。
必要に応じて、地域包括支援センターやケアマネージャーを頼りましょう。

主治医の適切な選び方と受診のポイント

介護認定を受ける際、最初のステップとして重要なのが「主治医の意見書」の準備です。この意見書が認定調査と並び、介護度を決定する重要な基準になります。
そのため、主治医選びや受診の方法を誤ると、実際の状況より低い介護度が認定されるリスクがあります。

主治医選びの基本

高齢者の場合、多くの診療科を受診していることが一般的です。
例えば、内科、整形外科、認知症専門医などが挙げられます。

では、その中から誰を主治医に選べばいいのでしょうか?
ポイントは以下の2つです。

  • 身体の状況を最も理解している医師

  • 介護にかかる手間や時間を把握できる医師

介護認定では、「この人がどれくらいの時間や手間を要して日常生活を送っているか」が大きな評価基準となります。そのため、身体の状態を的確に説明できる医師を選ぶことが大切です。

例えば、認知症の症状が中心であれば、認知症専門医が適任です。
一方、腰痛や関節痛が主な問題であれば整形外科医の意見書がより効果的でしょう。

迷う場合は、地域包括支援センターや居宅介護支援事業所に相談してください。
プロの視点から適切なアドバイスをもらえます。

主治医

受診のタイミングと方法

主治医の意見書には、最新の状態が反映されることが求められます。
そのため、受診のタイミングにも注意を払いましょう。

最新の状況を伝える重要性

例えば、以下のようなケースを考えてみてください。

  • 認知症の症状が悪化している
    以前は物忘れが軽度だったが、最近は外出先で道に迷うことが増えた。

  • 身体的な症状が進行している
    腰痛が強まり、杖が必要になった。

膝を痛がる人
こうした変化は主治医が診察しなければ記録されません。
認知症の場合、患者本人が自分の変化に気づいていないことも多いので、家族が状況を整理して伝えることが重要です。

受診時に注意するポイント

意見書作成の際、医師に以下のような内容を伝えると良いでしょう。

  • 日常生活で困っている具体的な場面

  • 介護者がどのようにサポートしているか

  • 症状が生活に与えている影響

主治医に正確な情報を伝えることができれば、適切な意見書を作成してもらいやすくなります。

認定調査を受ける際の心構えと注意点

認定調査は介護認定を受けるうえで、もう一つの大きな柱です。この調査では、訪問調査員が74項目もの質問を行い、介護にかかる時間や手間を数値化します。しかし、この調査は初対面の調査員と1時間程度の聞き取りで行われるため、状況を正確に伝えられるかどうかが非常に重要です。

お年寄りの心理を理解する

まず、調査を受ける対象者の心理に注目しましょう。
高齢者は多くの場合、自分の状況を正確に伝えることに抵抗を感じます。
理由はさまざまですが、特に次の2点が挙げられます。

女性の場合

女性は年齢を重ねても「見栄」を張る傾向があります。
たとえば

  • 「排泄の失敗がある」とは言いたくない

  • 「物忘れがひどい」とは認めたくない

こうした心理が働くため、実際の介護の手間や時間を正確に反映できない場合があります。

男性の場合

一方で男性は、これまでの自分の功績を大切にする傾向があります。
特に以下のようなケースが見られます。

  • 「昔はこんなこともできた」と過去の話をしてしまう

  • 現在できていないことを「まだできる」と言いたがる

このような心理を踏まえた準備が必要です。

家族や支援者の同席

認定調査の場では、家族やケアマネージャーが同席することで、正確な情報が伝わりやすくなります。本人が答えづらい内容(例:排泄や認知症のエピソード)を補足する役割を担いましょう。

家族や支援者が行うべきこと

  • 具体的な事例をメモして持参する
    例えば、「最近排泄の失敗が週に何度かある」「買い物に行くと何を買うか忘れる」といったエピソード。

  • 別途で補足の場を設ける
    調査員に直接伝えにくい場合、電話や後日面談で補足することも可能です。

認定調査を受ける家族

家族や支援者のサポートが必要な理由

介護認定調査では、本人の主観だけではなく、周囲の支援者からの情報が評価に大きく影響します。
特に、認定調査員が見落としがちな以下の点について補足することが重要です。

認定調査で見落とされがちな点

  • 頻度の低いが重大な問題
    例えば、月に1回の転倒事故や、頻繁ではないが深刻な物忘れ。

  • 本人が認識していない症状
    認知症患者が自分の症状を正確に把握できていない場合。

サポートの工夫

家族や支援者ができる具体的な工夫には次のようなものがあります。

  • エピソードをメモする
    日々の介護の中で感じた具体的な状況を記録しましょう。

  • 調査員に手渡す
    メモを調査員に直接手渡すことで、伝え漏れを防ぎます。

  • 調査前後に連絡する
    必要に応じて調査員と追加の情報を共有してください。

電話をする女性

まとめ:適正な認定結果を得るために

介護認定をスムーズに進め、適切なサービスを受けるためには、以下のポイントを押さえることが重要です。

  • 主治医は、介護の手間や時間を理解している医師を選ぶ。

  • 最新の状態を伝えるために、適切なタイミングで受診する。

  • 認定調査には、家族や支援者が同席して状況を補足する。

  • 言いづらい内容は、メモや別の場を活用して伝える。

適正な認定結果を得ることで、高齢者本人だけでなく、介護をする家族にとっても大きな安心感が得られます。地域包括支援センターやケアマネージャーの力を借りながら、最善の準備を整えましょう。

 

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監修

福井寛之(ふくい ひろゆき)

社会福祉士・介護福祉士・介護支援専門員(ケアマネージャー)
You Tuber 福祉の福ちゃん
経歴:特別養護老人ホーム、デイサービスで7年の介護経験。
在宅介護支援センター、地域包括支援センターで14年経験、センター長として勤務。
小学校、中学校の授業を通して認知症講座を開催。
在宅福祉の相談に数多く関わってきた経験から、また、認知症の祖父母を在宅で介護、看取りを行った経験から様々な講演を開催。

公開日:2025年1月7日 

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