まごころ介護のお役立ち動画コラム

MAGOCORO MOVIE COLUMN

現場で使える声掛け『死にたい・早くあの世に行きたい』

 

お迎えに来てほしいに対する声掛け

今日は、早くお迎えに来てほしい、早くあの世に行きたい、もっとストレートに言うと、死にたいという人に対する声掛けについてです。
施設介護に携わる人はもちろんの事、在宅介護に携わる人にとっても現場で直面する話になると思うので、必見です!

早くお迎えが来てほしいという人に対する声掛け。
これは僕が、特別養護老人ホームや自宅で暮らすお年寄りの方と関わってきた経験ももちろんあるんですが、何よりも自分の祖父母を介護してきた中で、大好きな祖母が10年間発し続けてきた言葉、『早くあの世に行きたい』という言葉に対して、孫である僕が返すべき言葉って何だろう?とずっと考えてきた僕なりのアンサーでもあります。

正直正解かどうかなんてわかりません。
これが答えだとは思ってないです。
ただ、現場でよく直面するこのシチュエーションについて、皆様と一緒に考えることをきっかけにして現場でアレンジして活かしていただけたら嬉しいなと思っています。

発する想い、受け取る想い

早くお迎えに来てほしいと言われた時、相手に寄り添いたい、この人の力になりたいというようなプラスの感情が湧くこともあれば、マイナスの感情が湧くことだって人間だからありますよね!

「早くお迎えに来てほしい」この言葉を発した相手とのその時の関係性でも変わってきますし、その言葉を受け止める時の自分の状況によっても全然変わってきますよね。
皆様の頭の中には、いろんな場面が浮かんでいる事と思います。

早くお迎えに来てほしいという言葉は、そのまま本人が抱えておられる絶望感から心の声が溢れ出ている場合もあれば、うまくいかない状況下で悔しくて思わず思いが溢れてしまう、そんな場合だってあるでしょう。

1人では、どうにも寂しくて目の前にいる人に寄り添ってほしくてSOSの意味で発せられることもあるでしょう。
場合によっては、職員さんの反応を試すために、あえてこういった言葉を発するなんてことも、本人にすら説明のつかない感情の場合だってあると思います。

落ち込む女性

僕は、生まれた時からおばあちゃんが亡くなるまで、一緒に暮らしていた期間は長いです。
そのうちの約10年間は介護生活も経験してきました。毎日学校から帰ったり、仕事から帰った時はまず、おばあちゃんにただいまと言いに行きます。

決まっておばあちゃんは「もうはやくあの世に行きたい」と言っていました。毎日でした。
しかも1日何回も言います。おばあちゃんは元来すごく強い人で、僕の記憶では、泣き言なんかも、おばあちゃんが元気な頃は聞いたことがなかった。

そんな強いおばあちゃんだったので、「あの世に行きたい」という言葉の裏には、動けなくて孫に世話になってる悔しさ、孫に迷惑をかけて情けないといった思いがすごく強くあったんだろうなと想像をしています。
僕は最初の頃は、それこそもう、「早くあの世に行きたい」と言うおばあちゃんに対して、「なんでそう思うの?」と聞き返したり、「僕はおばあちゃんがいなくなったら寂しいし、嫌だよ」と言っていました。
でも、いつからか何も言葉は返さずにおばあちゃんの背中をさすったり、手を握るようになりました。

現場で働いてる職員からはそんな時間ねえよって反論も聞こえてきそうです。

介護の現場でできること

介護の現場は大変です!僕も経験者です。

いつも、どの利用者さんに対しても平等に、なんて教科書に書いてあるような綺麗ごとはハッキリ言って現場では通用しません。
でも、「利用者さんに平等に接することができてない...」なんて自分を責めたりなんてしなくていいと思っています。

ましてや他の職員を責めるなんてこともする必要ないですしね!
でも、ほんの少しの時間、ほんの数秒間でもできることがあります。いつもできてなくたっていいです。
でも、ここぞという時に少しの時間を取るって大切なことだと思っています。

僕も当然できていないことも多いですが、早くお迎えに来てほしい、あの世に行きたいと声が出た時に、時間が無い時にはただ数秒間だけ体に触れるとか、「○○さんがいなくなったら、私は寂しいな」と軽く、明るく言うのだってアリですよね!

「私は何もできない、迷惑ばっかりかけてごめんね...」そんな風に言うご利用者さんも多いですよね。

これに対する声掛けとしては、「何もできてない?僕は、○○さんに元気もらっていますよ」とか、「大丈夫ですよ。今の私のしているお手伝いは、私が年を取ったら今度は○○さんの娘さんとか、お孫さんにやってもらいますから!順番ですよ!順番」とかどうですかね?

ここからはYoutubeで頂いたコメントもご紹介をさせていただきます。

  • 「あの世は満員御礼、三途の川まで並んでいますよ~。横入りもできないしね。今はまだ、一緒に楽しみましょう。」
  • 「せっかくご縁があって出会えたんだから、もう少しお付き合いしてほしい」
  • 「最近若い子も亡くなる方多くて混るんですって。だから、もう少し私に付き合ってね」
  • 「えんまさまから整理券届きましたか?」
  • 「あの世からお手紙きました?」

まとめ

皆様も色々と介護の現場でのご経験があると思います。こんな風に声掛けの引き出しを増やしておくというのも大切なのかもしれません。
介護で悩んでいるご家族や関係者の方に届いたら嬉しいと思います。
介護で働く皆様を応援しています。

監修

福井寛之(ふくい ひろゆき)

社会福祉士・介護福祉士・介護支援専門員(ケアマネージャー)
You Tuber 福祉の福ちゃん
経歴:特別養護老人ホーム、デイサービスで7年の介護経験。
在宅介護支援センター、地域包括支援センターで14年経験、センター長として勤務。
小学校、中学校の授業を通して認知症講座を開催。
在宅福祉の相談に数多く関わってきた経験から、また、認知症の祖父母を在宅で介護、看取りを行った経験から様々な講演を開催。

公開日:2024年9月19日 

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