まごころ介護のお役立ちコラム

MAGOCORO COLUMN

仕事と介護を両立するための「在宅介護の限界点とその見極め」

在宅介護から介護施設へ入居する時間のイメージ
仕事と介護を両立することは、多くの人にとって大きな課題です。
特に、在宅介護を続けるなかで「このままで大丈夫か」と悩むことがあります。
そこで重要になるのが、介護の在宅限界点を知り、適切な判断をすることです。
今回はその在宅限界点の見極めポイントをご紹介いたします。

在宅限界点とは

親に介護が必要になったら、まずは在宅でヘルパーやデイサービスなどの介護保険サービスを利用します。
その後、在宅で介護することができなくなったら施設などに入所することになるでしょう。
その過程において「在宅で介護をすることができなくなったら」の状態の表現を在宅限界点と言います。

見極めポイント

介護の在宅限界を見極めるための重要なポイントがいくつか存在します。

第一に、介護が必要な家族の医療ケアが始まり、在宅での管理が難しい場合、
第二に、介護を担う家族の数が減少して支援が困難になった時点、
第三に、介護を受ける方の日常生活において、危険が伴うようになった時、

以上が在宅限界点の合図です。

見極めポイント①医療ケアが始まった時点

高齢の親の状態に、医療処置が必要になったら、定期的または随時対応すべきことが想定されるため、在宅限界点となり得るかもしれません。

病院での医療的な援助が必要な場合

例えば、人工呼吸器を装着している場合は、基本的に自宅でみることが出来ません。
医療器具も必要で、機器の定期的なメンテナンスなどもあります。
また、人工呼吸器に伴う中心静脈栄養や胃ろうなどの栄養管理、痰吸引なども必要になります。

医療処置の主なもの
経管栄養法(胃ろうなど)・中心静脈栄養法(IVH)・点滴 静脈注射・膀胱留置カテーテル・胃ろう、膀胱ろう・人工呼吸療法・人工肛門・気管カニューレ・吸引など

見極めポイント②介護を担う家族が減った時点

介護を担う家族にも自分たちの事情があり、それがいつ起こるかわかりません。
体調が悪くなった、転勤になった、子育てが忙しくなったなどの理由で、介護を担えなくなり、介護を担う家族が減った時点が、在宅限界点といえるでしょう。家族がいないといるとでは、在宅介護の限界点は大きく変わっていきますので、そのあたりもポイントとして押さえておきましょう。

また、家族が在宅介護を続けていく中で強いストレスを抱えてしまっている状況も在宅限界点かもしれません。
家族が強いストレスを抱えてしまう原因は以下のとおりです。

閉鎖的になることが多い

介護者と要介護者が同じ家で過ごすことで、外部との交流が少なくなり、介護者は精神的に追い込まれてしまいます。
主たる介護者が1人で抱え、同居するほかの家族からも孤立してしまう場合があります。

仕事中にも連絡が来る

仕事中にもかかわらず、要介護者や要介護者が通っている病院の主治医から連絡が入り、やむを得ず電話に出なければならない場合があります。そのたびに、話を聞いたり、職場から自宅へ戻ったりと、職場に迷惑をかけてしまい、強いストレスを抱えるようになってしまう場合があります。

就業困難になってきたと感じるきっかけ

在宅介護をしながらフルタイム勤務をしている方へのアンケート調査では、仕事を続けたい意向があるにもかかわらず、就業困難になってきたと感じるきっかけとして、以下のとおり答えています。

①認知症の症状への対応
②夜間の排泄
③日中の排泄

見極めポイント③親の日常に危険度が増した時点

生活の中で今まで普通にできていたことができずに、命にかかわるほどの危険度が増した場合。
日常生活や住まい、外出時で危険と判断されるサインについて是非チェックしてみてください。

日常生活の危険サイン

高齢になると気温の変化に無頓着になり、冷房と暖房を間違えて入れてしまっても気づかない場合があります。
また、食べ終わった食器を洗わずそのままにしたり、洗濯物をためてしまったりと、不衛生にしている場合は注意が必要です。
特に料理をしていて、火を消し忘れてしまうなど火の始末は命にもかかわります。

住まいでの危険サイン

高齢になると身体機能が低下するものです。
腕や足に打ちみやアザがある場合、住まいでの転倒のリスクが高まっている可能性があります。
手すりがついていても、玄関や階段の昇降が難しくなる場合があります。

外出時の危険サイン

通いなれた道であれば帰れるが、横道に入ったとたんに戻れなくなり、道に迷うことが多くなってきたら注意が必要です。
帰り方がわからずに、かなり遠くまで歩いて行ってしまう可能性があります。
警察から保護の連絡が来てしまった場合には、その時点で在宅介護は難しいと考えたほうが良いかもしれません。

在宅介護に限界を感じる前に

在宅での介護だけにこだわらず、施設などでの介護も視野に入れていきましょう。
無理をしすぎたり、ひとりで抱え込んでしまって、在宅限界点を見過ごさないようにしましょう。

まとめ

要介護度と在宅限界点は必ず比例するものではありません。
介護サービスをうまく活用できていても、介護者が身体を壊したり、不眠などで肉体的、精神的に追い込まれたりする中で「仕事を辞めようか」と考えてしまうものです。限界点が訪れる前に、早めに専門家と相談し、適切なサポートを探求しましょう。

監修

橋本珠美

橋本珠美

2001年4月、株式会社ユメコムを起ち上げ、介護・福祉の法人マーケットを中心に、誰もが高齢社会を安心して過ごすためのコンサルティングを始める。
また「高齢者と高齢者を抱える現役世代」のための相談窓口「シニアサポートデスク」「ワーク&ケアヘルプライン」を運営し、高齢者やそのご家族の幅広いお悩み(介護・相続・すまいなど)にお応えしている。
相談窓口の事例と自身の経験(ダブルケア)を取り入れたセミナー活動は好評を得ている。

株式会社ユメコム(https://www.yumecom.com)

公開日:2024年5月15日 

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