まごころ介護のお役立ちコラム
MAGOCORO COLUMN
介護を予防するには、心身の老化のサインに気づくことが第一歩です。
その気づきのひとつとして、厚生労働省から25の基本チェックリストが提示されています。
ご家族でコミュニケーションをとりながら、チェックしてみましょう。
「はい」か「いいえ」のいずれかでお答えください。
バスや電車を利用して一人で外出していますか
(公共交通機関の利用または自分で車を運転する場合は、はい)
はい
いいえ
日用品の買い物をしていますか
はい
いいえ
預貯金の出し入れをしていますか(家族に頼む場合は、いいえ)
はい
いいえ
友人の家を訪ねていますか
はい
いいえ
家族や友人の相談にのっていますか
はい
いいえ
階段を手すりや壁に頼らず昇っていますか
はい
いいえ
椅子に座った状態から何にもつかまらずに立ち上がっていますか
はい
いいえ
15分くらい続けて歩いていますか
はい
いいえ
この1年間に転んだことはありますか
はい
いいえ
転倒に対する不安が大きいですか
はい
いいえ
6カ月で2~3㎏以上の体重減少がありましたか
はい
いいえ
BMIが18.5未満ですか BMI=体重(㎏)÷身長(m)÷身長(m)
はい
いいえ
半年前に比べて固いものが食べにくくなりましたか(小さく切って食べる場合は、はい)
はい
いいえ
お茶や汁物等でむせることがありますか(食事中に咳き込むことがある場合は、はい)
はい
いいえ
口の渇きが気になりますか(口の中が乾いて飲みにくい場合は、はい)
はい
いいえ
週に1回以上は外出していますか
はい
いいえ
昨年と比べて外出の回数が減っていますか
はい
いいえ
周りの人から「いつも同じことを聞く」などの物忘れがあると言われますか
はい
いいえ
自分で電話番号を調べて、電話をかけることをしていますか
はい
いいえ
今日が何月何日かわからない時がありますか
はい
いいえ
(ここ2週間)毎日の生活に充実感がない
はい
いいえ
(ここ2週間)これまで楽しんでやれていたことが楽しめなくなった
はい
いいえ
(ここ2週間)以前は楽にできていたことが今ではおっくうに感じられる
はい
いいえ
(ここ2週間)自分が役に立つ人間だと思えない
はい
いいえ
(ここ2週間)わけもなく疲れたような感じがする
はい
いいえ
判定
診断① | 問6~10でピンクに3つ以上チェックがついた方 | 運動機能低下の恐れがありますので、機能向上に取り組みましょう |
---|---|---|
診断② | 問11・12のすべてでピンクにチェックがついた方 | 低栄養の恐れがありますので、栄養改善に取り組みましょう |
診断③ | 問13~15でピンクに2つ以上チェックがついた方 | 口腔機能低下の恐れがありますので、機能向上に取り組みましょう |
診断④ | 問1~20でピンクに10個以上チェックがついた方 | 全般的な生活機能低下の恐れがありますので、機能向上に取り組みましょう |
診断⑤ | 問18~20でピンクに1個以上チェックがついた方 | 認知機能の低下の恐れがありますので、認知症予防に取り組みましょう |
診断⑥ | 問21~25でピンクに2個以上チェックがついた方 | うつ傾向の可能性がありますので、うつを予防しましょう |
基本チェックリストの質問は、ご本人の心身の状況についての概要を把握する上で必要です。しかし、1回の判定だけで、その人のすべての心身の状況がわかるわけではなく、どの程度の頻度でチェックを行えば良いかという基準はありません。
そして、ご本人の心身の状況の変化に応じて、回答の内容にも変化が出てきます。体や心の変化に気づいたら、再度基本チェックリストのチェックを再度行ってみることも良いでしょう。
2015年の介護保険法改正により、高齢者が要介護状態にならないように総合的に支援する「介護予防・日常生活支援総合事業(以下、総合事業)」が創設されました。
「総合事業」は、65歳以上の高齢者のうち、要介護認定で要支援1・2の認定を受けた方と、基本チェックリストにより生活機能の低下がみられた方が対象となります。要支援者だけでなく、これまで要支援認定を受けなかった高齢者にもサービスを拡大して提供することで、国民全体の介護予防につながると予見され、要介護認定の申請を行わずとも介護予防サービスを利用できる点が、これまでの介護予防事業との大きな違いになります。
「総合事業」には大きく分けて「介護予防・生活支援サービス事業」と「一般介護予防事業」があります。
「介護予防・生活支援サービス事業」
要支援者の訪問介護と通所介護(デイサービス)、介護予防や生活支援を必要とする高齢者のためのサービスです。
「一般介護予防事業」
市区町村が住民の互助や民間サービスと連携し、高齢者の生活機能の改善や生きがい作りを重視した介護予防に役立つ事業のことです。
例えば、「すこやかシニア体操」、「お達者元気教室」などの名称で、介護予防リーダー(市民ボランティア)や、理学療法士などの指導のもとで、簡単なリズム体操、軽体操、筋力アップや転倒予防の運動教室、ストレッチ、イスに座ってできるエクササイズ、ストレッチ、ダンベル、セラバンドなどを用いて筋力アップを目的とした介護予防のための運動を行います。
※基本チェックリストのチェック内容は、本人の状態に応じて変化するということを念頭においておかなければなりません。そのため、上記で紹介した本人に適した介護予防サービスを利用した後に、改めて他のサービス利用も利用したい場合は、再度基本チェックリストを用いたチェックを行い、サービスの振り分けを行う必要があります。
該当する項目が少なかった場合であっても介護ケアマネジメントにおいて評価を行った結果、自立支援に向けて必要がであると判断されれば、そのサービスを受けることもできます。
今回は、介護予防のためのチェックリストと介護予防・生活支援サービスについてご紹介いたしました。
「総合事業」は、全国一律の介護保険サービスとは異なり、各市区町村が主体となって行う事業の1つです。各市区町村によって利用料金や運営基準に違いがあります。
まだまだ元気に暮らしているけれど、加齢とともに心配事が増えてきているご家族は、「介護予防・生活支援サービス」の利用を検討されることをおすすめします。
監修
橋本珠美
2001年4月、株式会社ユメコムを起ち上げ、介護・福祉の法人マーケットを中心に、誰もが高齢社会を安心して過ごすためのコンサルティングを始める。
また「高齢者と高齢者を抱える現役世代」のための相談窓口「シニアサポートデスク」「ワーク&ケアヘルプライン」を運営し、高齢者やそのご家族の幅広いお悩み(介護・相続・すまいなど)にお応えしている。
相談窓口の事例と自身の経験(ダブルケア)を取り入れたセミナー活動は好評を得ている。
株式会社ユメコム(https://www.yumecom.com)
公開日:2021年12月24日 更新日:2024年9月9日
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