冬の入浴は特に注意！～ヒートショックが起こる原因と予防法～

厳しい寒さが続く冬の時期、一日の終わりはお風呂でゆっくり身体を温めたい…という方も多いのではないでしょうか。そんな時に注意していただきたいのが「ヒートショック」です。特に入浴中はヒートショックを起こしやすいとされ、溺死や急死につながる危険もあります。

今回は、冬に気を付けたいヒートショックの原因と予防法について解説します。

ヒートショックの発生場所

ヒートショックは、暖かい部屋からトイレ、脱衣所など、寒い場所へ移動したときの温度差が激しいときに起こりやすいと言われています。

特に、冷え切った脱衣所や浴室で裸になると、身体の表面温度が10度以上も急激に下がり、寒冷刺激によって血管が収縮、血圧が急激に上昇します。

さらに、温かい湯船につかると血管が拡張するため、今度は急激に血圧が下がります。

その後も、湯船から出て身体を洗ったり、入浴後も寒い脱衣所などで着衣するなど、入浴の前後で血圧はジェットコースターのように大きく上下します。

このような急激な血圧の変動によって、心筋梗塞、脳卒中といった症状を引き起こしたり、意識を失って浴槽で溺れてしまうこともあります。

ヒートショックになりやすい人

• 65歳以上である

• 高血圧や糖尿病などの持病がある

• 脳や心臓の病歴がある

• 一番風呂や熱いお風呂に好んで入る

• 30分以上の長風呂をする

• 食事の直後や飲酒後にお風呂に入る習慣がある

• 脱衣所や浴室に暖房設備がない

65歳以上の高齢者や高血圧・糖尿病などの持病がある人、過去に浴室でめまいや立ちくらみを起こしたことのある方なども注意が必要です。

入浴中の死亡は交通事故の2倍!?

ヒートショックは医学用語ではないため、ヒートショックが原因とされる事故の正確な統計データはありません。

ただ、厚生労働省の人口動態統計によると、2023年の『不慮の溺死及び溺水』死亡者数は8,993人で、交通事故死亡者数（3,573人）と比較するとおよそ2.5倍であることが分かりました。

また、「不慮の溺死及び溺水」死亡者のうち、65歳以上の高齢者が8,270人と9割を占めています。

月別で比較してみると、1月、2月、12月の死亡者が3,812人と冬場に亡くなっているケースが多くみられます。

ヒートショック対策のポイント

入浴前に脱衣所や浴室を暖める

温度の急激な変化を避けるため、入浴前に脱衣所や浴室を暖めることが効果的です。

お風呂の温度は41度以下、浸かる時間は10分を目安に

10分間の入浴で体温は38度になり、熱いお湯ほど体温は早く上昇します。体温が40度を超えると熱中症の症状で意識障害を起こし、溺水やショックによる心停止の危険性があるとの報告があります。

食事直後・飲酒時の入浴を控える

食事直後や飲酒時、薬の服用後は、血圧が下がり、意識障害が起こる可能性があります。

14時～16時ごろの入浴がおすすめ

日没後に比べて外気温が高いため、脱衣所や浴室がそれほど冷え込まないことに加え、人の生理機能として、14時～16時が温度差への適応がしやすい時間帯と言われています。

入浴前に水分補給をする

脱水症状を防ぐため、入浴前に水分補給をしましょう。

同居者がいる場合は一声かけてから

異変の発見の遅れが死亡事故につながることがあります。同居者がいる場合は、「お風呂に入ってくるね」など声をかけて、入浴することを認識してもらいましょう。

ヒートショックになってしまった人への救護方法

● 浴槽の中で気を失っていたら、まず浴槽の湯を抜いて浴槽から引きあげてください

● 呼びかけて反応がない、呼吸が弱い場合、また、意識があっても異常を感じる場合は救急車を呼んでください

● 救急車を待っている間に脈や呼吸が確認できない場合は、胸骨圧迫・人工呼吸の応急処置をできる限り続けてください

できる限り、室内全体の温度を均一に

ヒートショックは高齢者に限らず、誰にでも起こる可能性があります。  暖かい部屋から寒い場所に移ったときの「胸のドキドキ」は血管の収縮によるものです。

『自分にも起きるかもしれない』という意識を持ち、できる限り家全体の温度を均一に保つことが効果的です。予防策を取り入れて健康な生活を送りましょう。

―引用元・参照WEBサイト
滋賀県ホームページ｜ヒートショック対策について
消費者庁｜コラムVol.12 高齢者の事故 ―冬の入浴中の溺水や食物での窒息に注意―
厚生労働省｜令和5年（2023） 人口動態統計（確定数）の概況