まごころ介護のお役立ちコラム
MAGOCORO COLUMN
医療の発達と共に平均年齢が伸びつつあるのは、大変喜ばしいことですが、親御さんや、自分自身の老後のことを考えると、漠然とした不安感に襲われるという人は少なくありません。
特に住まいにおいてはどうでしょうか。定年後は若いころに買った今の家に住み続けますか。
それとももっと利便性が高いところに移り住みますか。
今回は、定年後の住まいについてお悩みの方からのご相談事例を元に、様々な住まいの形をご紹介します。
ご自身の「終の棲家」について一度しっかり考えてみてはいかがでしょうか?
目次
相談者Yさん・73歳・女性
主人は3年前に他界し、現在はひとり暮らしです。先日、夜中に体調が悪くなったことをきっかけに、ひとり暮らしに対して不安を感じるようになりました。しかし、施設で暮らすのもまだ早いのではないかと悩んでいます。家族は、娘と息子。2人とも結婚して独立していますが、娘は近くに住んでいます。色々と考えてしまい、気持ちが決まりません。
高齢者住宅・ホーム
いつか介護が必要になることを考えると施設の方が気が楽かな
娘や息子は仕事があるから介護はプロに任せたいな
元気なうちから入れる老人ホームは少ないかも
知らない土地に行くのは不安だな
娘と二世帯住宅
子どもがいつも一緒にいてくれるのは安心
二世帯住宅は税金の控除があるらしい
娘と同居すると、相続で息子と娘がもめるかも
自宅
やっぱりひとり暮らしは寂しいかも...
ひとりでは掃除もメンテナンスも大変だな
自宅で暮らし続けられれば一番いいんだけど
相談者Kさん・71歳・男性
現在、私たち夫婦、息子夫婦、孫と住んでいます。自宅は、私たちが40年前に建てた家で、学校、買い物、自然どれをとっても環境のよいところです。ただ、60歳後半になってから、ここは車がないと生活しにくいことが大変気になっています。「老後の住まい」として交通の便のよい、病院や買い物も歩いていける地域への住み替えを考えた方がいいかもしれません。
交通の便のよいところに新しく住む
新しい環境に慣れるよう、早めに住み替えた方がいいな
いずれ息子に相続する自宅を、生前贈与することで税金対策もできそうだ
駅、買い物、病院、趣味の集まりなど老後の生活が便利で楽しそう
高齢者になってからの運転は心配だから、早めにノーマイカー生活にしようかな
自宅に住み続ける
バリアフリーリフォームをして、ずっと住み続けようかな
この機に、土地の所有を息子と分割すれば、相続対策ができるかも
今まで住み慣れた地域だから安心だ
共に住んでいれば、老後は息子に面倒を見てもらえるかもしれない
YさんやKさんも、周りの環境やご家族の状況に違いはありますが、「老後の住まい」について迷いや不安があるのは同じです。それではここで、実際にその時々の状況に応じて住まいを決めてこられたSさんの老後の住まいと暮らしについてみてみましょう。
相談者Sさん・76歳・男性
Sさんからのコメント
私たち夫婦の老後の住まいは、その時に何が一番大切かで決めました。私が定年を迎えたころは、妻の母の介護が大変でした。そこで思い切って、自宅は持ち家を考えていた32歳の息子に譲り、妻の実家をリフォームして同居しました。義母を見送った後は夫婦だけの生活となり、利便性が高い都会のマンションへと移り住みました。仕事がある現役時代は、自宅から離れることなど考えられませんでしたが、老後はその時々で住まいを変えるのもひとつの考え方だと思います。
今のあなたにとって一番優先度が高いものはどれでしょうか?
「老後の住まい」を決めるポイントをチェックしながら考えてみましょう
環境
駅から近い
病院に通いやすい
買い物が近くて便利
公園や自然が多い
家族
子どもや孫の住まいと近い
兄弟姉妹の住まいと近い
夫婦2人で安心して暮らしたい
ペットとの同居が可能
趣味・仲間
友達に来てもらいやすい
周辺のコミュニティが充実している
支えあうサービスが充実している
習い事や趣味に通いやすい
介護・健康・病気
今すでに介護が必要である
ひとり暮らしは不安でたまらない
持病があり、医療対応をしてくれるところが一番安心
掃除洗濯、食事などの家事は誰かに任せたい
お金についても考えておきましょう
→老後の住まいの初期費用としてかけられるお金は決めていますか
→老後の住まいの月々の支払費用は決めていますか
→毎月の収入と支出を予想し、預貯金額を確認していますか
→自宅の固定資産税や維持費、修繕費を予測していますか
今回は、終の棲家のお悩み事例をご紹介しながら老後の住処の選択肢をご紹介しました。
ご自身にとって老後をどう過ごすか、何を大切にしたいのかで選択肢が変わってきそうですね。
これから加齢による体力の低下や足腰の弱まりなどを想定し、
ご家族とよく話し合って動けるうちに今後のことを決めておくとよいでしょう。
監修
橋本珠美
2001年4月、株式会社ユメコムを起ち上げ、介護・福祉の法人マーケットを中心に、誰もが高齢社会を安心して過ごすためのコンサルティングを始める。
また「高齢者と高齢者を抱える現役世代」のための相談窓口「シニアサポートデスク」「ワーク&ケアヘルプライン」を運営し、高齢者やそのご家族の幅広いお悩み(介護・相続・すまいなど)にお応えしている。
相談窓口の事例と自身の経験(ダブルケア)を取り入れたセミナー活動は好評を得ている。
株式会社ユメコム(https://www.yumecom.com)
公開日:2022年1月21日 更新日:2023年7月3日
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