まごころ介護のお役立ちコラム
MAGOCORO COLUMN
認知症予防として、日常生活の中でいくつかポイントがあるといわれています。認知症予防をうまく生活に取り入れると万一認知症になっても、症状の進行が緩やかになり、生活の質を保つといわれています。今回は認知症予防となる日常生活のポイントと、地域・自治体が行っている認知症予防のサービスを具体的にご紹介します。
目次
頻度 ▶週に2回~3回以上、30 分以上の運動
おすすめの運動 ▶ウォーキング
歩くことが難しい場合は、椅子に座ったままできる運動や、ベッドに寝ながらでもできる運動もあります。また、国立長寿医療研究センターは、認知症ではないが、正常ともいえない状態の段階で、運動と認知トレーニングを組み合わせた「コグニサイズ」の実施が、認知機能の低下を抑制することを明らかにしています。「コグニサイズ」では「4 の倍数で手をたたく」「しりとりをしながら運動する」など頭と体を同時に使うトレーニングが取り入れられています。
国立長寿医療研究センターが開発した運動と認知課題(計算、しりとりなど)のトレーニングを組み合わせた「コグニサイズ」のパンフレットはこちらから入手できます。
脳の健康を維持すること
生活習慣病(高血圧、高脂血症、糖尿病、肥満など)の改善と食事からの老化予防が認知症予防になります。
1、バランスの良い食事
2、摂取カロリーを守る
3、塩分を控える
4、間食、糖分を控える
魚
青魚:サンマ、アジ、イワシ、サバなど
※オメガ3脂肪酸のDHA やEPA が多く含まれている
DHA は脳の構成成分であり、記憶力や判断力の向上、認知症予防、特にアルツハイマー病発症予防に有効であるという報告があります。
EPA は脳まで届きませんが、血管を拡張して血行を促進するので生活習慣病を予防できます。生活習慣病の予防により、間接的に認知症に役立ちます。
緑黄色野菜・豆類・果実類
野菜:ほうれん草、小松菜、菜の花
豆類:納豆、枝豆、空豆
果実:いちご、キウイ、オレンジ
※葉酸(ようさん)が多く含まれている
葉酸はビタミンB 群の一種であり、不足すると肝臓で作られた悪玉アミノ酸が増えます。悪玉アミノ酸は動脈硬化を進行させるほか、アルツハイマー病の原因となるアミロイドβの作用を強めます。また、血中の悪玉アミノ酸が増えると認知症だけでなく、脳血管疾患を招くこともあります。葉酸を摂取する事で悪玉アミノ酸を減らすことができ、認知症予防に期待できます。
カレー
※ウコンが多く含まれている
ウコンには、クルクミンという色素成分が含まれ、カレーの色味を与えています。クルクミンには抗酸化物質が含まれ、油と一緒に摂ると吸収率が良くなり、老化の原因を抑え認知症の予防に有効とされる物質です。
コーヒー
※クロロゲン酸が多く含まれている
認知症の代表的なアルツハイマー病はアミロイドβというたんぱく質が脳に沈着することで起こります。クロロゲン酸は抗酸化作用を持っており、アミロイドβの蓄積を防ぐとともに、元々あったアミロイドβも消してくれる可能性もあります。
緑茶
※テアニンが多く含まれている
テアニンとは、新茶に多く含まれるうまみ成分(アミノ酸)で、血圧上昇を抑制し、脳の神経細胞を保護する働きもあり、認知機能の低下を抑える作用があるといわれています。
赤ワイン
※ポリフェノールが多く含まれている
ポリフェノールには、強力な抗酸化作用があり、老化、動脈硬化、高血圧、認知症予防に期待できます。少量ないし中等量の飲酒は認知症の原因にならないこと、認知症の予防になる可能性があります。1日250mlから500ml のワインの飲用は認知症の発症を抑えるという報告もあります。
自分で調理することが認知症予防になる
自分で調理することも認知症予防としてオススメです。やる気や自信を呼び覚まし、生活の質(QOL)の向上に繋がります。調理は何を作るか、材料はどうやって切るか、など複数の作業を同時に行うので、特に頭を使っています。認知症予防にも効果が期待されています。
若い頃から食事に気をつける
認知症のリスクが高くなる食事は、若い頃から傾向に特徴があります。偏食で、野菜や魚を嫌い、肉中心の食事が多い方、ビタミンB 群、C、E、ミネラルの摂取が少ない方、食事の代わりにお菓子やケーキを食べる方は要注意です。今からでも食事習慣を見直しましょう。
・肉中心の食事が多い
・ビタミンB 群、C、E、ミネラルの摂取が少ない
・お菓子やケーキをよく食べる
日本全国の高齢者を対象とした調査研究によると、ボランティア団体や町内会・自治会などへの活動割合が高い地域ほど、認知症リスク者が低いといった結果が出ています。社会参加と介護予防とは、強い相関関係があることが証明されつつあります。健康を維持・増進するために重要なこととして「社会参加」に注目が集まっています。
●横浜市の場合
高齢者が自らの介護予防のためにボランティア活動を行った場合、ポイントが得られ現金に還元できる仕組み。一般的には年間5,000 円程度を上限として付与。
※商品で還元される場合もある。
●松戸市の場合
要介護(支援)認定を受けた人も参加者として募集。市内の特別養護老人ホームなどで活動。実績に応じてポイントが付与される。
※厚労省「介護ボランティア活動への地域支援事業交付金の活用について」に基づく事業より
高齢者サロンは高齢者であれば誰でも参加できます。
●高齢者サロンの活動内容
茶話会、体操、工芸品などの技術の伝承、作品作りなどの手作業、レクリエーションやゲーム、将棋や囲碁、園芸、会食、料理、ボランティア講師による各種教室、カラオケ、野外活動等
名古屋市 市内16 区で低栄養予防等の栄養改善の取り組みを実施
名古屋市では、高齢者に健康的な暮らしをできるだけ長く続けていただくために、市内の各区にある保健所が中心となって介護予防や健康づくりに取り組んでいます。そのひとつとしてあるのが「いきいき教室」。認知症予防や栄養・口腔分野に関する介護予防の教室・講演会を開催するものです。開催方法としては、保健所等での講座に来てもらう拠点型と、地域の介護予防活動を推進するために出向いて開催する出張型の2つのタイプがあります。内容は、低栄養予防、栄養改善について講義形式の教室だけでなく、料理教室を開催しているところもあります。中には男性向けの料理教室もあります。この取り組みは、総合事業のうち、65 歳以上なら誰でも利用できる一般介護予防事業として行っています。
和歌山市 野菜摂取不足などの栄養状態を改善する取り組みを実施
毎年開催している「健康応援フェア」。成人の1 日の必要野菜摂取量を“見える化”し、食事のバランスや減塩について啓発するコーナー、骨密度測定コーナーなど、さまざまなテーマの展示で、栄養改善を含む健康に関する知識の普及や啓発活動に取り組んでいます。また、民間団体が開催する食に関するイベントへの後援も行っています。例えば、「野菜フェスタ in WaKaYaMa」 は、医療、食育、文化、産業がコラボレーションし、野菜と健康への関心を高めることが目的です。これを近畿農政局や和歌山県などと共に後援し、多世代が交流しながら野菜や食への関心を高める活動を後押ししています。
北九州市 24 人の管理栄養士を中心に楽しみながら取り組める栄養改善の推進
北九州市では、市全体で24 人もの管理栄養士を雇用。各行政区にも管理栄養士を配置し、市民の栄養改善に積極的に取り組んでいます。
・楽しく食べることで栄養状態も改善する
・ほめられたいという気持ちが行動変容を生む
・訪問事業によって栄養改善の成果が得られる
・地域のサロンへ栄養士派遣で食の支援
・社会資源をいかに必要な人につないでいくかが課題
現在、食生活改善推進員への委託による訪問事業があります。それぞれの地域で、ひとり暮らしの高齢者などを招く「ふれあい昼食交流会」を開催するなど、北九州市内で1500 人ほどが活動しています。
今回は「日常生活で認知症を予防するポイント」と「地域・自治体が行っている認知症予防のサービス」についてご紹介しました。
日常生活のリズムや習慣を少し変えるだけでも、認知症予防につながると言われています。体を動かし、食事に気をつけるなど、うまく生活に取り入れて認知症の予防をしてみてください。
監修
橋本珠美
2001年4月、株式会社ユメコムを起ち上げ、介護・福祉の法人マーケットを中心に、誰もが高齢社会を安心して過ごすためのコンサルティングを始める。
また「高齢者と高齢者を抱える現役世代」のための相談窓口「シニアサポートデスク」「ワーク&ケアヘルプライン」を運営し、高齢者やそのご家族の幅広いお悩み(介護・相続・すまいなど)にお応えしている。
相談窓口の事例と自身の経験(ダブルケア)を取り入れたセミナー活動は好評を得ている。
株式会社ユメコム(https://www.yumecom.com)
公開日:2022年5月25日 更新日:2022年10月25日
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